小説家と毒の果実

アレクサンドラはずっと幼い頃からジェームズに片想いをしていた。アレクサンドラの家は王家との関係も良好で、周囲からはアレクサンドラとジェームズが結婚するものだと思われていたし、アレクサンドラ自身もそう思っていた。しかし、ジェームズが結婚相手に選んだのは、下級貴族出身のエレノアだったのだ。

ジェームズと結婚できなかったアレクサンドラは、クレドのフォージャー男爵と結婚することになった。フォージャー男爵が彼女を見初めたからだ。王家のプリンセスになるはずが、田舎に嫁ぐことになったことにアレクサンドラはレミーが幼い頃は当たり散らしていたという。

『お前が産まれなければ、私は今頃王家の人間だったのに!!お前なんていなくなってしまえばいいのよ!!』

レミーは母親に辛く当たられるたびに、ジェームズに対して憎しみを募らせていった。そして、ティーパーティーに招待された際、アレクサンドラからジェームズが心臓病を患っていることを聞き、犯行に及んだのだ。濡れ衣を着せるのは誰でもよかったらしい。

(レミーが恨むべきは国王陛下じゃなくて母親だったと思うんだけど)