小説家と毒の果実

無効魔法はその名の通り、相手の放った魔法を消してしまう魔法だ。しかし、この魔法は誰もが習得できないものではない。熟練の魔法使いたちでさえ、習得できていない人も存在する。大変高度な魔法なのだ。

「……何故このようなことをしたのか、その理由を教えていただけますよね？」

オリバーが杖を突きつけながらレミーに問う。レミーはその場で項垂れた。



ジェームズ殺人事件から約一ヶ月。オリバーは、今日も変わらず汚部屋で小説執筆に勤しんでいる。その後ろでミアが「あ〜、もう！汚い！」と言いながら魔法で掃除をしていた。

「ミア、ありがとう！ちょっと休憩する？」

「当たり前でしょ！」

ミアは疲れ切った様子でソファに座った。ミアの膝にアダムがピョンと飛び乗り、ゴロゴロと喉を鳴らす。アダムを微笑みながら撫でるミアをチラリと見た後、オリバーはキッチンへと向かった。

レミーはすぐに犯行動機を自白した。それは、母親であるアレクサンドラが幼い頃に彼に言った言葉がきっかけだと言う。