小説家と毒の果実

「グレープフルーツが名産品だと言うのなら、誰もが気軽に食べられる果物ではないと知っているはずです。国王陛下の心臓のことをあなたはお母様から聞いて知っていたのではないですか?知っていて、グレープフルーツジュースを飲ませ、何の罪もないミアに濡れ衣を着せた。違いますか?」

オリバーの厳しい質問に対し、レミーは拳を握り締めたまま黙り込んだーーーように思えた。

「ふざけるなよ!!」

いきなりレミーは唾を飛ばしながら怒る。そして杖をオリバーに向けた。杖からいくつもの光線が放たれる。オリバーは目をゆっくりと閉じた。

「おい、お前!!早く杖を抜いて防御しろ!!」

セバスチャンがそうオリバーに向かって叫んだ時、レミーの放った魔法がオリバーの体に触れそうになる。刹那、レミーの放った魔法が全て消えた。魔法など放たれていなかったかのように、光線がフッと消えてしまう。

「は?」

レミーもセバスチャンもポカンと口を開けた。目を開けたオリバーは「無効魔法、無事にできてよかったです」と言った。