小説家と毒の果実

『クレドの特産品であるグレープフルーツを使ったジュースです。どうぞ』

『おいしそうだね。いただこう』

ジェームズはレミーからグラスを受け取る。レミーはエレノアにもジュースの入ったグラスを渡し、頭を下げて二人の前から下がった。

『エレノア、飲もうか』

『はい』

ジェームズとエレノアはジュースをゆっくりと飲んでいく。数十秒後、二人の持っているグラスは空になった。その直後である。

『うっ……グッ!ああっ……!』

ジェームズの顔が一瞬にして歪む。彼の手からグラスが落ちて地面に転がる。ジェームズはその場に倒れ、胸元を押さえていた。国王が倒れたことに、ティーパーティー会場は一瞬にして騒然となる。エレノアがジェームズの背中に触れた。

『ジェームズ!!しっかりして!!』

『早く医者を!!』

『陛下が倒れたぞ!!』

すぐに中庭に宮廷医師と薬剤師であるミアが駆け付ける。宮廷医師はジェームズの様子を見て、『残念ですが……』と呟くように言った。もう、ジェームズの心臓は止まっていたのだ。