小説家と毒の果実

王宮の一室にセバスチャンは入っていく。王宮の中ということもあり、豪華絢爛な空間がそこには広がっていた。しかし、オリバーは豪華な調度品などには目を向けなかった。

彼の両目は、ソファに座る国王・ジェームズに向けられていた。彼の顔色は少し悪い。胸元を押さえている。彼の隣では、王妃であるエレノアが心配そうに彼の背中をさすっていた。

『陛下、お薬をお持ちしました』

緊張したような声が響く。宮廷薬剤師の制服に身を包んだミアが部屋に入ってきた。その手には液体状の薬が入った小瓶を持っている。

『薬剤師、ジェームズが少し苦しそうなの!早く薬を!』

『はい!陛下、薬を』

エレノアに急かされ、ミアが小瓶をジェームズに手渡す。ジェームズは一気に薬を飲んだ。数十秒後、ジェームズの顔色は健康的なものになった。

『陛下、大丈夫ですか!?』

『ジェームズ!』

ミアとエレノアが心配そうにジェームズを見つめる。ジェームズはゆっくりと息を吸って吐いた後、『心配をかけてすまない。そろそろ行こうか』とエレノアに笑いかけた。