勝ちたい僕と冷たい君

 僕が大好きな彼、
彼には可愛い彼女がいる。

 僕は、無謀にも彼女に戦いを挑むこと、
三回……。(勝手に言ってるだけだけだけどね)

 一回戦 『壁ドン対決』 敗北
 二回戦 『トイレにGO!』圧勝
 三回戦  コールド負け

 そして、四回戦と思いきや、
宿敵の女子の転校生、
『あの娘』が突然僕らの前に現れ
休戦に追い込まれた。

 僕と彼女を脅かす存在、
それは、転校してきた『あの娘』。

 休み時間……

 「ねぇ~、次の時間、
教科書忘れちゃったから、見せてくれない?」
 猫なで声であの娘が彼に話しかける。

 「いいよ、机くっつければ?」
 と彼が返事をする。
 「わぁ~ありがとう。じゃあ」と言うとあの娘は
机を持ち上げ、彼の机にぴったりと机を押し付けた。

 くぅ~なにやってるんだよ、あの娘、
あんなに身体までくっつけて、
まだ休み時間なんですけど~、
授業始まってないんですけど~、
あ~、髪なんか耳にかけちゃって何狙い?
僕の怒りの『炎』がメラメラと燃え盛る。


 「ね~、あの娘、随分なれなれしくない?
 彼にあんなにくっついて、
君という彼女がいるのに……」
 僕は、たまらず彼の彼女に話かけた。

 「……」
 「え? どうしたの?」
 無言の彼女に僕は、彼女の顔を覗き込んだ。

 「え? え~?」彼女の顔を見て驚く僕。

 彼女の顔は、普段の可愛い顔とは、
ほど遠い、『赤鬼』いや『般若』いやいや、
僕の『母さんの激怒した顔』そのもので、
それは、それは恐ろしい形相だった。

 「だ、大丈夫?」恐る恐る話かける僕に
 彼女が言った。

 「許せないんだから……絶対に」と呟くと
  彼女は、教室から出て行った。

 その様子を見た『あの娘』は
クスッと鼻で笑った。


 本来は、『僕と彼女の戦い』のはずだけど、

 番外編『彼女とあの娘の戦い!』
 彼を巡って女同士の戦いが今、
始まろうとしている。

 僕がこの戦いに参加をすれば、三つ巴の戦い。

 三つ巴……みつどもえ……。

 そんなことは……やりませ~ん!
 どうしてかって?

 それは、彼女とあの娘が戦っている間に
僕は彼の傍にぴたりといるつもりだから
 「女同士の喧嘩って怖いね~」
 なんて言いながらね(笑)

 あの娘の隣に座る彼……
今日も、『ツン』が多めの彼。
そんな彼が僕は、大好き!