勝ちたい僕と冷たい君

 あ~いい天気……。
 僕は大好きな彼と一緒に通う
通学路を目指して今日も絶好調。
 と思いきや……、
ぬわぁんと、朝っぱらから
あの娘と彼が一緒に
歩いてるではないか……。
 僕は、まるで忍者のように
気配を消しながら二人の後を
ヒタヒタとついて行った。
 ちきしょう~、この距離だと
二人の会話が聞こえない。
 この距離だとぉ……
てなわけで、手っ取り早く
何を話してるのか? って
直接二人の間に割って入ってみた。

 「おはよう~今朝はいい天気だねぇ」
 あの娘と彼のど真ん中に
陣取った僕は、ニコニコ顔で話し出す。
 「二人とも最近、いや、君が転校してきて
から仲良しだねぇ。彼にはれっきとした
可愛い彼女がいるのに~、え! え!
それを承知で彼とこんな朝っぱらから
ニコニコとまぁ……」
 僕はあらいざらいの嫌味を投げつけた。

 すると、あの娘はクスッと笑い
彼に言った。
 「あれ? もしかしてこの子に
言ってないの?」
 「ああ、言ってない……てか
彼女にも言ってない。
 どうせ、春には行くんだろ? 
 だから、別にいいかな~って」
 「それはそうだけど……
でもこれって完全に誤解されてる
みたいだけど……」
 「そうか? でもおまえ意外と
楽しんでるだろ?」
 「あ、バレてた?」
 「バレバレだよ。この小悪魔」
 彼があの娘の頭を小突いた。

 二人の会話をじっと聞いていた
僕は思わず、
 「ちょっとぉ、何二人で盛り上がって
るんだよ。さっきから会話の中身が
全然わかんないよ」と口を尖らせた。

 すると、彼が僕に向かって……
 「コイツ、俺の従妹なんだ。
 うちの高校って海外留学が盛んだろ?
 だからわざわざ編入試験受けて
転校してきたってわけ……んでもって
最近留学試験にもパスしてさ、
今年の春には海外に行くってわけ」
 「そういうこと……ごめんねぇ~。
 からかうようなことして……
でも、君と彼女が可愛くてつい……
意地悪したくなったの」
 あの娘は舌をペロッとだした。

 「え? 従妹な……の? なんだ
そうか……従妹か」僕はホッとして
思わず笑みがこぼれた。
 「おまえにバレたら彼女にも
言わなきゃな……俺、あいつの
ヤキモチ顔……意外と好きだったけど」
 と彼は僕の顔を見て微笑んだ。

 理由はどうであれ……
これで、晴れてライバルが一人減った。

 今日はなんて天気がよくて
気分がいい朝なんだ……
僕は心の中でそう呟いた。