待ち合わせ場所に現れた瞬矢は、カメラ以外にも三脚や外付けマイクなど、たくさんの機材を持ってきていた。
その表情はワクワクが隠しきれていない。
私が押し切るように約束を取り付けたけれど、どうやら瞬矢も楽しみにはしてくれているらしい。
「危険なところがないか下見もしてきたから。暗くなったら私に任せてね」
「ああ。よろしくな」
公園にたどり着いた私たちは、さらに20分ほどかけて急な階段を上り、丘のてっぺんを目指した。
頂上に着くころにはかなり息が上がっていたけれど、周囲よりも小高くなっているそこは、見晴らしがよくて気持ちがいい。
吹き抜ける風を感じていると、花火が見える方角に向けて、瞬矢がさっそく機材をセットし始めた。
その真剣な横顔を見つめながら、撮影の用意を手伝う。
「オッケー。準備完了」
「上手く撮れそう?」
「目の調子は分からないけど、やれるだけやってみる」
撮影の準備が終わるころになると、辺りは夕焼けに照らされ始めた。
これから少しずつ薄暗くなっていくだろう。
持ってきた懐中電灯をつけて、二人並んで腰を下ろす。
瞬矢の安全は私が守らなければと、改めて気を引き締めながら彼に寄り添った。
「瞬矢」
「んー?」
「瞬矢はさ、どうして映画監督になりたい思うようになったの?」
打ち上げ開始を待つあいだ、私はふいに思い浮かんだ疑問を瞬矢に投げかけた。
突然の話題に、瞬矢が隣でまばたきをする。
「……小さいころ、テレビで見たドキュメンタリーに感動して」
「へぇ。どんなドキュメンタリー?」
「田舎の夏を撮った映像でさ。ストーリーがあるわけじゃないのに、なぜか目が離せなくて。俺もあんな世界をつくり出したいって思うようになったんだ」
そう言って、瞬矢が照れくさそうに笑う。
それは私が初めて瞬矢の動画を見たときに感じた気持ちに似ていた。
「つくってるよ。瞬矢はもう」
「そうかな」
「うん。それにこれからもっと上手くなる」
「そっか。そうだといいな」
珍しく言葉少なな雰囲気に、私までどこか気恥ずかしくなる。
するとそんな雰囲気を打ち破るように、突然菊のようなかたちの花火が夜空に打ち上がった。
「始まった……!」
それを皮切りにして、次々と花火は空に咲いていった。
しばしのあいだその迫力に目を奪われていると、隣で見ていた瞬矢が弾かれたようにカメラへと飛びつく。
「メインの三尺玉と巨大スターマインは後半の予定だから、それまで試し撮りをやってみるな」
興奮を隠しきれない様子で、瞬矢がカメラの液晶を見つめる。
それから「シャッタースピードは……」「ISOが……」と、頭を捻りながら設定を変え始めた。
この暗がりできちんと撮影ができるか不安だったけれど、どうにかカメラの操作はできているようだ。
「けっこうイケてるかも」
ようやく納得の設定にできたらしい瞬矢が、満足そうな笑い声を上げる。
その楽しそうな声に、私の頬もゆるんだ。
「ねぇ。瞬矢には今、花火がどんなふうに見えてるの」
「うーん……。肉眼じゃ、未央が見てるほどくっきりとは見えてないと思う。でも、綺麗なのはちゃんと分かるよ」
その表情はワクワクが隠しきれていない。
私が押し切るように約束を取り付けたけれど、どうやら瞬矢も楽しみにはしてくれているらしい。
「危険なところがないか下見もしてきたから。暗くなったら私に任せてね」
「ああ。よろしくな」
公園にたどり着いた私たちは、さらに20分ほどかけて急な階段を上り、丘のてっぺんを目指した。
頂上に着くころにはかなり息が上がっていたけれど、周囲よりも小高くなっているそこは、見晴らしがよくて気持ちがいい。
吹き抜ける風を感じていると、花火が見える方角に向けて、瞬矢がさっそく機材をセットし始めた。
その真剣な横顔を見つめながら、撮影の用意を手伝う。
「オッケー。準備完了」
「上手く撮れそう?」
「目の調子は分からないけど、やれるだけやってみる」
撮影の準備が終わるころになると、辺りは夕焼けに照らされ始めた。
これから少しずつ薄暗くなっていくだろう。
持ってきた懐中電灯をつけて、二人並んで腰を下ろす。
瞬矢の安全は私が守らなければと、改めて気を引き締めながら彼に寄り添った。
「瞬矢」
「んー?」
「瞬矢はさ、どうして映画監督になりたい思うようになったの?」
打ち上げ開始を待つあいだ、私はふいに思い浮かんだ疑問を瞬矢に投げかけた。
突然の話題に、瞬矢が隣でまばたきをする。
「……小さいころ、テレビで見たドキュメンタリーに感動して」
「へぇ。どんなドキュメンタリー?」
「田舎の夏を撮った映像でさ。ストーリーがあるわけじゃないのに、なぜか目が離せなくて。俺もあんな世界をつくり出したいって思うようになったんだ」
そう言って、瞬矢が照れくさそうに笑う。
それは私が初めて瞬矢の動画を見たときに感じた気持ちに似ていた。
「つくってるよ。瞬矢はもう」
「そうかな」
「うん。それにこれからもっと上手くなる」
「そっか。そうだといいな」
珍しく言葉少なな雰囲気に、私までどこか気恥ずかしくなる。
するとそんな雰囲気を打ち破るように、突然菊のようなかたちの花火が夜空に打ち上がった。
「始まった……!」
それを皮切りにして、次々と花火は空に咲いていった。
しばしのあいだその迫力に目を奪われていると、隣で見ていた瞬矢が弾かれたようにカメラへと飛びつく。
「メインの三尺玉と巨大スターマインは後半の予定だから、それまで試し撮りをやってみるな」
興奮を隠しきれない様子で、瞬矢がカメラの液晶を見つめる。
それから「シャッタースピードは……」「ISOが……」と、頭を捻りながら設定を変え始めた。
この暗がりできちんと撮影ができるか不安だったけれど、どうにかカメラの操作はできているようだ。
「けっこうイケてるかも」
ようやく納得の設定にできたらしい瞬矢が、満足そうな笑い声を上げる。
その楽しそうな声に、私の頬もゆるんだ。
「ねぇ。瞬矢には今、花火がどんなふうに見えてるの」
「うーん……。肉眼じゃ、未央が見てるほどくっきりとは見えてないと思う。でも、綺麗なのはちゃんと分かるよ」


