冗談交じりなことを言いながら、瞬矢がけらけらと笑う。
その明るい笑い声を聞いていると、突然遠くから「瞬矢ー!」と彼を呼ぶ声が聞こえた。
振り向けば、同じクラスの清水くんがこちらに駆けてくるのが見える。
「聞いた? 今年の花火大会、新作で巨大スターマインも上がるんだって!」
瞬矢の目の前までやってきた清水くんは、上がった息のままでそんなことを言った。
清水くんの言う花火大会というのは、私たちが住む地域で毎年8月の半ばに行われるお祭りの花火大会のことだ。
三尺玉のかなり大きい花火も打ち上げられたりして、近隣の県からも見物客が訪れたりする、けっこう有名な花火大会だったりする。
あの花火も、きっと瞬矢なら美しさをそのままにカメラに収めてしまうのだろう。
「すげー迫力になるらしいぜ? 今年は瞬矢も行くよな?」
「あー。俺はパス」
瞬矢の撮った花火の映像も見てみたいなと思っていると、しかし彼はあっさりと清水くんの誘いを断ってしまった。
その返事を聞いた清水くんはもちろん、私まで目を丸くして瞬矢を見やる。
「えー!? なんでだよ!?」
「ちょっと用事があって」
「そう言って去年も来なかったじゃん! 瞬矢がいないとつまんねーのに」
「悪ぃ、みんなで楽しんできて。行こーぜ、未央」
「えっ? ……う、うん」
納得していなさそうな清水くんを置き去りにして、瞬矢がその場を無理やり離れようとする。
まだタイムカプセルのシーンは撮り終わっていないのに。
それに、なんだか瞬矢の様子が変だ。
「瞬矢、待ってよ……!」
逃げるように足早になる瞬矢を追いかけて私たちがたどり着いたのは、いつもの旧校舎だった。
しんと静まり返った校舎の中に、二人分の荒い息遣いの音が響く。
「瞬矢……?」
「あー、はは。ごめん。まだ全部撮り終わってなかったのに」
瞬矢が何かを誤魔化すようにへらりと笑う。
いったいどうしたと言うのだろう。
清水くんに追求されたくないことでもあったのだろうか。
よく分からない彼の行動を不思議に思っていると、瞬矢は一度大きく息を吐き、それから改まって私に向き直った。
「……あのさ、俺、未央に聞いてもらいたいことがあるんだ」
彼の思い詰めたような顔を見て、ますます疑問が募っていく。
「うん、いいよ。どうしたの?」
「実は俺、みんなに隠してることがあって」
「隠してること?」
「うん」
そこまで言って、瞬矢はまた口ごもってしまった。
どう見てもその“隠してること”を明かしたくはなさそうな雰囲気だ。
「別にいいんじゃないかな? 誰にだって人に言えないことのひとつやふたつくらいあるよ。私だってそうだったもん」
だからそんなに無理をしなくていいと、フォローのつもりで声をかける。
それでも瞬矢は頑なな表情を崩さなかった。
「だけど俺は勝手に未央の秘密を見たのに、俺の秘密を未央に言わないのはフェアじゃないって言うか」
「そんなこと気にしなくていいのに」
その明るい笑い声を聞いていると、突然遠くから「瞬矢ー!」と彼を呼ぶ声が聞こえた。
振り向けば、同じクラスの清水くんがこちらに駆けてくるのが見える。
「聞いた? 今年の花火大会、新作で巨大スターマインも上がるんだって!」
瞬矢の目の前までやってきた清水くんは、上がった息のままでそんなことを言った。
清水くんの言う花火大会というのは、私たちが住む地域で毎年8月の半ばに行われるお祭りの花火大会のことだ。
三尺玉のかなり大きい花火も打ち上げられたりして、近隣の県からも見物客が訪れたりする、けっこう有名な花火大会だったりする。
あの花火も、きっと瞬矢なら美しさをそのままにカメラに収めてしまうのだろう。
「すげー迫力になるらしいぜ? 今年は瞬矢も行くよな?」
「あー。俺はパス」
瞬矢の撮った花火の映像も見てみたいなと思っていると、しかし彼はあっさりと清水くんの誘いを断ってしまった。
その返事を聞いた清水くんはもちろん、私まで目を丸くして瞬矢を見やる。
「えー!? なんでだよ!?」
「ちょっと用事があって」
「そう言って去年も来なかったじゃん! 瞬矢がいないとつまんねーのに」
「悪ぃ、みんなで楽しんできて。行こーぜ、未央」
「えっ? ……う、うん」
納得していなさそうな清水くんを置き去りにして、瞬矢がその場を無理やり離れようとする。
まだタイムカプセルのシーンは撮り終わっていないのに。
それに、なんだか瞬矢の様子が変だ。
「瞬矢、待ってよ……!」
逃げるように足早になる瞬矢を追いかけて私たちがたどり着いたのは、いつもの旧校舎だった。
しんと静まり返った校舎の中に、二人分の荒い息遣いの音が響く。
「瞬矢……?」
「あー、はは。ごめん。まだ全部撮り終わってなかったのに」
瞬矢が何かを誤魔化すようにへらりと笑う。
いったいどうしたと言うのだろう。
清水くんに追求されたくないことでもあったのだろうか。
よく分からない彼の行動を不思議に思っていると、瞬矢は一度大きく息を吐き、それから改まって私に向き直った。
「……あのさ、俺、未央に聞いてもらいたいことがあるんだ」
彼の思い詰めたような顔を見て、ますます疑問が募っていく。
「うん、いいよ。どうしたの?」
「実は俺、みんなに隠してることがあって」
「隠してること?」
「うん」
そこまで言って、瞬矢はまた口ごもってしまった。
どう見てもその“隠してること”を明かしたくはなさそうな雰囲気だ。
「別にいいんじゃないかな? 誰にだって人に言えないことのひとつやふたつくらいあるよ。私だってそうだったもん」
だからそんなに無理をしなくていいと、フォローのつもりで声をかける。
それでも瞬矢は頑なな表情を崩さなかった。
「だけど俺は勝手に未央の秘密を見たのに、俺の秘密を未央に言わないのはフェアじゃないって言うか」
「そんなこと気にしなくていいのに」


