名もなき星が瞬く

「……お姉ちゃんが私にそんなことを思ってたなんて知らなかった」

「そう? 未央はしっかりしてるし、私と違ってすごいなって昔から思ってるよ」

「それに私の妹はめちゃくちゃかわいいしね」と言って、お姉ちゃんが乱暴に私の頭を撫でる。
姉馬鹿な発言にくすぐったくなりながら、私はぐしゃぐしゃになった髪を手櫛で直した。

「それじゃあ、お姉ちゃんはその嫉妬心をどうやって乗り越えるの?」

「うーん、開き直るしかないかな? 私は私以外の何者にもなれないんだし、それなら自分を磨いて輝くしかないって」

「磨いても輝けなかったらって考えて、怖くなったりしない?」

「怖いけど、磨くことをしなかったら輝けるかどうかも分からないでしょ?」

不敵に笑うお姉ちゃんを見上げる。
そこには瞬矢と同じ、迷いのない真っ直ぐな瞳があった。

「輝ける可能性があるかもしれないのに、何もしないでその可能性を潰してしまうことの方が怖いよ」

その途方もない強さを、私はやっぱりとてつもなく眩しく思うのだ。



「なんかすっきりした顔してるじゃん」

お姉ちゃんと話をした次の日。
タイムカプセルを掘り出すシーンのために瞬矢と校庭の土を掘っていると、彼は突然、ニヤニヤとしながらそう言った。
その目ざとさに図星を突かれ、ごまかすように咳払いをする。

「実は昨日、お姉ちゃんに嫉妬するかどうかを聞いてみたんだ」

「へぇ。未央の姉ちゃん、なんだって?」

「そんなのするに決まってるって」

まぁ、お姉ちゃんには私と違って、嫉妬に負けない強さがあるのだけれど。

「ほら、俺の言ったとおりだっただろー? 未央が思うほど嫉妬って悪い感情じゃねーし、誰にでもあるもんなんだって」

「そうだね」

瞬矢が腕を組みながら得意げに胸を反らすのを、苦笑しながら見上げる。
けれど彼の言うとおり、お姉ちゃんにも私と同じ気持ちがあるのだと分かったら、私も少しだけ吹っ切れたような気がした。

「よし、タイムカプセルの穴もこれくらいでいいかな?」

「おっ、そうだな」

そうこうしていると、ようやくタイムカプセル用の缶が埋まる程度の穴を掘り終えることができた。
ここから男子生徒役の瞬矢がタイムカプセルを埋めるシーンと、主人公役の私がそれを掘り起こすシーンを撮らなければならない。

「それじゃあまず俺がタイムカプセルを入れる動きをするから、その映像を未央が撮って。終わったら交代な」

「分かった」

慣れたように瞬矢カメラを手渡され、私もいつもと同じようにして構える。
ここ数日で何度もカメラを手にしたおかげで、私も少しずつ映像を撮ることに慣れてきていた。
瞬矢の書いた絵コンテを参考にしながら、タイムカプセルを持つ彼の手のアップや、埋めるときの穏やかな表情を撮っていく。

「ちょっと映像チェックさせて。……ん、よし、いい感じ」

「瞬矢も撮られるのに慣れてきたよね。レンズ越しに本当に薄幸の少年に見える」

「マジか。将来は監督だけじゃなくて俳優もいいかもな」