お姉ちゃんはカラッとした明るい性格だ。
悩んだりはするかもしれないけれど、誰かに嫉妬をしている姿なんてぜんぜん思い浮かばない。
そんなお姉ちゃんでも、私と同じように落ち込むことがあるのだろうか。
家に帰ったら一度聞いてみようかと考えていると、瞬矢が急に「そうだ」と言って持っていたカメラを置いた。
「前に星空を撮ったときに知ったんだけど、流れ星ってもともとは宇宙の塵なんだって」
「えっ、そうなの?」
「知らなかっただろ」
瞬矢が得意げに笑う。
彼が言うには、宇宙に漂う小さな塵が大気と擦れて発光し、やがてそれが流れ星になるらしい。
「始めはちっぽけな塵が、いつか流れ星になって綺麗に光るんだ。だから大丈夫だよ。今は塵だなんだって言っていても、未央はいつか流れ星になってたくさんの人に見つかるから」
確信しているような口調で瞬矢が言う。
本当に彼には敵わない。
私のもやもやとした気持ちを、いとも簡単に消し去ってしまうのだから。
うん、大丈夫。
瞬矢くれた言葉を心の中で繰り返す。
彼がそう言ってくれるなら、私もいつか綺麗な流れ星になってみせよう。
「お姉ちゃん」
「んー?」
練習を終えて、今日も遅い時間に帰ってきたお姉ちゃんに声をかける。
洗った髪を乾かすのもそこそこに、スマートフォンで今日の練習の様子を振り返っているお姉ちゃんの邪魔をするのは気が引けたけれど、私にはどうしても聞きたいことがあったのだ。
「あのさ……お姉ちゃんってすごいじゃん」
「急にどうしたの? 褒めたっておこづかいなら貸さないよ?」
「いや、そうじゃなくてさ」
けらけらと笑いながらからかってくるお姉ちゃんの横に座る。
いつになく真面目な顔をしている私を、お姉ちゃんも不思議に思ったらしい。
「なんかあった?」と心配そうに顔を覗き込まれる。
「お姉ちゃんって美人だし明るいし、スケートがものすごく上手でしょ? そんなすごいお姉ちゃんでも、誰かに嫉妬したりすることあるのかなーって聞きたくて」
私がそう言うと、お姉ちゃんは拍子抜けしたようにソファーの背もたれにもたれかかった。
「なにそれ。そんなのあるに決まってんじゃん」
「そうなの?」
「もちろん。人を妬んだりすることなんて誰だってあるでしょ。スケートやってても、あの子は私よりジャンプが上手いとか、あの子は私よりスピンが上手いとか、考え出したらきりがないくらいだよ」
「そっか。そうなんだ」
お姉ちゃんみたいな人でも、私と同じように悩むことがあるのか。
まさに瞬矢が言っていたとおりだ。
「ていうか、未央にだって嫉妬するし」
「私に!?」
「だって未央、私と違ってすごくいい子じゃん。わがまま言うのも聞いたことないし」
初めて知る事実に驚いていると、お姉ちゃんはさらに私を驚かせるようなことを言った。
「中学のときなんかさ、体育の先生に『お前は妹と違って落ち着きがないな』とか言って比べられたんだよ? たしかに私は未央と違ってうるさい自覚はあるけど、そんな言い方しなくてよくない? あー、今思い出してもムカつく」
お姉ちゃんが怒りに任せてバタバタと足を動かす。
その様子を見ながら、私は呆然としていた。
悩んだりはするかもしれないけれど、誰かに嫉妬をしている姿なんてぜんぜん思い浮かばない。
そんなお姉ちゃんでも、私と同じように落ち込むことがあるのだろうか。
家に帰ったら一度聞いてみようかと考えていると、瞬矢が急に「そうだ」と言って持っていたカメラを置いた。
「前に星空を撮ったときに知ったんだけど、流れ星ってもともとは宇宙の塵なんだって」
「えっ、そうなの?」
「知らなかっただろ」
瞬矢が得意げに笑う。
彼が言うには、宇宙に漂う小さな塵が大気と擦れて発光し、やがてそれが流れ星になるらしい。
「始めはちっぽけな塵が、いつか流れ星になって綺麗に光るんだ。だから大丈夫だよ。今は塵だなんだって言っていても、未央はいつか流れ星になってたくさんの人に見つかるから」
確信しているような口調で瞬矢が言う。
本当に彼には敵わない。
私のもやもやとした気持ちを、いとも簡単に消し去ってしまうのだから。
うん、大丈夫。
瞬矢くれた言葉を心の中で繰り返す。
彼がそう言ってくれるなら、私もいつか綺麗な流れ星になってみせよう。
「お姉ちゃん」
「んー?」
練習を終えて、今日も遅い時間に帰ってきたお姉ちゃんに声をかける。
洗った髪を乾かすのもそこそこに、スマートフォンで今日の練習の様子を振り返っているお姉ちゃんの邪魔をするのは気が引けたけれど、私にはどうしても聞きたいことがあったのだ。
「あのさ……お姉ちゃんってすごいじゃん」
「急にどうしたの? 褒めたっておこづかいなら貸さないよ?」
「いや、そうじゃなくてさ」
けらけらと笑いながらからかってくるお姉ちゃんの横に座る。
いつになく真面目な顔をしている私を、お姉ちゃんも不思議に思ったらしい。
「なんかあった?」と心配そうに顔を覗き込まれる。
「お姉ちゃんって美人だし明るいし、スケートがものすごく上手でしょ? そんなすごいお姉ちゃんでも、誰かに嫉妬したりすることあるのかなーって聞きたくて」
私がそう言うと、お姉ちゃんは拍子抜けしたようにソファーの背もたれにもたれかかった。
「なにそれ。そんなのあるに決まってんじゃん」
「そうなの?」
「もちろん。人を妬んだりすることなんて誰だってあるでしょ。スケートやってても、あの子は私よりジャンプが上手いとか、あの子は私よりスピンが上手いとか、考え出したらきりがないくらいだよ」
「そっか。そうなんだ」
お姉ちゃんみたいな人でも、私と同じように悩むことがあるのか。
まさに瞬矢が言っていたとおりだ。
「ていうか、未央にだって嫉妬するし」
「私に!?」
「だって未央、私と違ってすごくいい子じゃん。わがまま言うのも聞いたことないし」
初めて知る事実に驚いていると、お姉ちゃんはさらに私を驚かせるようなことを言った。
「中学のときなんかさ、体育の先生に『お前は妹と違って落ち着きがないな』とか言って比べられたんだよ? たしかに私は未央と違ってうるさい自覚はあるけど、そんな言い方しなくてよくない? あー、今思い出してもムカつく」
お姉ちゃんが怒りに任せてバタバタと足を動かす。
その様子を見ながら、私は呆然としていた。


