「じゃーん。未央の脚本をベースに絵コンテを描いてきましたー!」
瀬戸くんと映画を作ることになってから早くも2週間が経つ。
ラストシーンだけを残し、脚本も大部分が完成したころ、瀬戸くんは突然私に紙の束を渡してくれた。
「絵コンテって?」
「映画の画面構成をイラストにしたやつのこと。絵が下手だからって笑うなよ」
「私だって笑ったりしないよ」
手渡された紙を一枚めくる。
そこには4コマ漫画のような枠線が引かれてあり、瀬戸くんによって登場人物のだいたいの動きや配置が棒人間で描かれていた。
なるほど、こういうイラストでイメージを再現したものを絵コンテと言うのか。
「すごい。これに沿って撮影するんだね」
「そうそう。未央もなんかアイデアがあったら教えてくれよな」
「うん、分かった」
「じゃあまた、放課後はロケハンの続きをしよーぜ」
そう言い残して、瀬戸くんが自分の席へと戻っていく。
どうやら今日もまた、彼と放課後を過ごすことができるらしい。
当たり前のように交わした約束が嬉しくて、そしてなんだかくすぐったかった。
「主人公が男子生徒と出会う場面は、やっぱ広くて明るい場所がいいよな」
「じゃあ中央階段のあたりは? 窓から光も差して明るいし、ちょうどいいかも」
「おっ、そうだな。そこにしよう」
放課後。
私たちは瀬戸くんの描いてくれた絵コンテに沿って、具体的なロケハンを始めていた。
旧校舎の中を巡り、カメラにどんなふうに映るか、どのシーンをどこで撮るのが一番いいか、ひとつひとつ丁寧に確認していく。
「はい、じゃあ次は未央が俺を撮ってみてよ」
そうして試し撮りを重ねていると、急に瀬戸くんが驚くようなことを言い出した。
「私が!? 瀬戸くんを!?」
「二人しかいないんだから、俺が映るときは未央に撮ってもらわなきゃいけないだろ?」
「それはそうだけど。でも私、カメラなんて持ったことないよ?」
「大丈夫だって。教えるから」
そう言うと、瀬戸くんはカメラのストラップをひょいと私の首にかけてくれた。
彼がいつも大切にしている相棒を、おそるおそる手に持ってみる。
重厚感はあるけれど、想像していたようなずしりとくる重さはない。
間近でよく見ると、よく分からないボタンやダイヤルがたくさんついていて、ものすごく値段が高そうに見えた。
「ねぇ瀬戸くん。このカメラっていくらくらいするの?」
「え? えーと、たしか20万くらいだったかな?」
「にっ、にじゅんまん……!?」
「それでも安い方なんだぜ? いいやつだと倍以上の値段がするものもあるんだから」
高そうだとは思ったけれど、まさかそんなにするだなんて。
「コンテストの賞金とかお年玉を貯めてやっと買ったんだ」と、瀬戸くんは得意げに笑う。
そんな高価で大切なものが自分の手の中にあるというプレッシャーで、私の両手はぶるぶると震えてきた。
瀬戸くんと映画を作ることになってから早くも2週間が経つ。
ラストシーンだけを残し、脚本も大部分が完成したころ、瀬戸くんは突然私に紙の束を渡してくれた。
「絵コンテって?」
「映画の画面構成をイラストにしたやつのこと。絵が下手だからって笑うなよ」
「私だって笑ったりしないよ」
手渡された紙を一枚めくる。
そこには4コマ漫画のような枠線が引かれてあり、瀬戸くんによって登場人物のだいたいの動きや配置が棒人間で描かれていた。
なるほど、こういうイラストでイメージを再現したものを絵コンテと言うのか。
「すごい。これに沿って撮影するんだね」
「そうそう。未央もなんかアイデアがあったら教えてくれよな」
「うん、分かった」
「じゃあまた、放課後はロケハンの続きをしよーぜ」
そう言い残して、瀬戸くんが自分の席へと戻っていく。
どうやら今日もまた、彼と放課後を過ごすことができるらしい。
当たり前のように交わした約束が嬉しくて、そしてなんだかくすぐったかった。
「主人公が男子生徒と出会う場面は、やっぱ広くて明るい場所がいいよな」
「じゃあ中央階段のあたりは? 窓から光も差して明るいし、ちょうどいいかも」
「おっ、そうだな。そこにしよう」
放課後。
私たちは瀬戸くんの描いてくれた絵コンテに沿って、具体的なロケハンを始めていた。
旧校舎の中を巡り、カメラにどんなふうに映るか、どのシーンをどこで撮るのが一番いいか、ひとつひとつ丁寧に確認していく。
「はい、じゃあ次は未央が俺を撮ってみてよ」
そうして試し撮りを重ねていると、急に瀬戸くんが驚くようなことを言い出した。
「私が!? 瀬戸くんを!?」
「二人しかいないんだから、俺が映るときは未央に撮ってもらわなきゃいけないだろ?」
「それはそうだけど。でも私、カメラなんて持ったことないよ?」
「大丈夫だって。教えるから」
そう言うと、瀬戸くんはカメラのストラップをひょいと私の首にかけてくれた。
彼がいつも大切にしている相棒を、おそるおそる手に持ってみる。
重厚感はあるけれど、想像していたようなずしりとくる重さはない。
間近でよく見ると、よく分からないボタンやダイヤルがたくさんついていて、ものすごく値段が高そうに見えた。
「ねぇ瀬戸くん。このカメラっていくらくらいするの?」
「え? えーと、たしか20万くらいだったかな?」
「にっ、にじゅんまん……!?」
「それでも安い方なんだぜ? いいやつだと倍以上の値段がするものもあるんだから」
高そうだとは思ったけれど、まさかそんなにするだなんて。
「コンテストの賞金とかお年玉を貯めてやっと買ったんだ」と、瀬戸くんは得意げに笑う。
そんな高価で大切なものが自分の手の中にあるというプレッシャーで、私の両手はぶるぶると震えてきた。


