ところがどっこい、何も無いままに夜になってしまった。 「どうしたんだよ? 元気無いなあ。」
母ちゃんまでが心配しております。 「香澄ちゃんよ。 香澄ちゃんが居ないから落ち込んでるの。」
「そっか。 香澄ちゃんか。 呼べばいいじゃん。」 「ちょい待ち。」
「何 ジェリーみたいなことを言ってんだ? 香澄ちゃんと何か有ったのか?」 「まあ呼んでみたら分かるわよ。」
「そうねえ。」 ということで俺の話なんか聞かずに母ちゃんは香澄を呼び付けたのでありました。
当の香澄はというと呼ばれて嬉しかったのか、妙に弾んでおります。 「嬉しそうねえ。 香澄ちゃん?」
「そりゃあまあ、、、。」 「何畏まってんだよ 馬鹿。」
「うわ、また私を馬鹿にした。」 「いいのいいの。 そんなのはほっといて。 お腹空いたでしょう?」
「はーい。」 「調子のいいやつだなあ。」
「弘明君とは違うから。」 「いいんだもん。 拗ねてやるんだもん。」
「こんな所で私の真似しないでよ。」 「ここでやんなきゃ何処でやるんだよ? 馬鹿。」
「馬鹿馬鹿うるさいなあ。」 「お前だって言うてるやんか。 馬鹿。」
「香澄ちゃん そんなの相手にしなくていいからこっちに来なさいよ。」 「はーい。」
「まったくもう、、、。」 「弘明はそこに有るでしょう?」
なぜか俺だけ小さな机にご飯が置いてある。 食べる気が失せてしまった俺は部屋に戻って布団に潜り込んだ。
食堂では母ちゃんと姉ちゃんと香澄が楽しそうに話しながら食事中。 そこへ父さんが帰ってきた。
「あれ? 宏明は?」 「さあねえ。 上に居るんじゃないの?」
「香澄ちゃんが居るのにか?」 「何かしょんぼりしてるから香澄ちゃんを呼んだのよ。 そしたらさあ、いじけちゃって出てこないの。」
「そうか。」 父さんは珍しく俺の部屋に入ってきた。
そこで俺はこれまでの成り行きを話したんだ。 「そうか。 それはちょっとダメだな。」
顰め面をした父さんは一階へ下りて行った。 「香澄ちゃんは帰りなさい。」
「えーーー? 何でよ? 父さん?」 「お前、弘明の話を聞いたのか?」
「そりゃあちっとは、、、。」 「何で全部聞かないんだ? ちょっとしか聞かないで分かったような顔をしてたのか?」
母ちゃんも姉ちゃんも黙り込んでしまった。 「香澄ちゃん 宏明に会う気が無いんなら帰ってくれ。 居たってどうしようもないから。」
「そんなこと、、、。」 「分かりました。 帰ります。」
真っ蒼になっているのは姉ちゃんだ。 やんやと囃し立てて俺を隅に追いやってたんだから。
「和江、弘明を呼んできなさい。」 しゅんとした姉ちゃんは俺を呼びに来た。
食堂に入ってみると香澄の姿は無い。 俺がきょとんとしていると、、、。
「香澄ちゃんには帰ってもらった。 ちょっと喧嘩したくらいでこれはやり過ぎだよ。 いずれお前たちは仲直りするだろう。 周りが手を出すことじゃない。」
倒産はそう言うと黙って夕食を食べ始めた。 「弘明 お前もこっちに来い。」
そう言ってから姉ちゃんを黙って見据えている。 黙ったまま姉ちゃんは俺の食事をテーブルに運んでいった。
何とまあ静かな夜だろう。 さっきまであれほど賑やかだった笑い声も静まってしまっている。
香澄のことが気にならないことも無いけれど、、、。
そのまま夜が明けましてまたまた朝が来ました。 「はーあ、今日もまた暇な一日が、、、。」
そう思っていると小百合が電話を掛けてきた。 「ねえねえ弘明君。 香澄と何かやらかしたの?」
「は? 何か言ってた?」 「弘明君と喧嘩したから会えなくなったって、、、。」
「馬鹿だなあ。 いつも通りに揶揄ってただけなんだけど。」 「そうなの?」
「あいつさあ、すぐに噴火するだろう?」 「確かにね。」
「だからそんなんだったらいいわって言ったんだよ。」 「そっか。 それだけか。」
「まあどうせ寂しくなったら絡んでくるんだからほっといても大丈夫だよ。」 「それならいいんだけど、、、。」
それで終わりかと思ったら普段は滅多に電話なんか掛けてこない芳子が電話を掛けてきた。 「ねえねえ吉田君。 香澄ちゃんと何が有ったの?」
「おいおい、お前らどうしたんだよ?」 「何か話が回ってきたから気になっちゃって、、、。」
「誰が話しを広げたんだ?」 「律子。」
「あの野郎、、、。」 「ほんとに大丈夫なの?」
「大丈夫も何もただの喧嘩だから心配するな。」 「そうなの?」
「香澄も香澄で噴火し過ぎるから困るんだよ。」 「まあねえ。 あの子は前からそうだもんねえ。」
「分かったらそれでよろしい。」 やっと電話を切って床に寝転がる。
ウトウトしていると玄関のチャイムが鳴った。 「今度は誰だよ?」
恐る恐るドアを開けてみると、、、。 「弘明君。 ごめんなさい。」
やけに畏まった顔の香澄が立っていた。 「だから何?」
「昨日の、、、。」 「俺は何とも思ってねえよ。」
「でも、、、。」 「いつものことなんだからさ。」
「そんなんじゃないもん。 ほんとに腹が立ったんだもん。」 「今まで寝てたのか?」
「は? 何言ってんの?」 「腹が立ったって言うからさあ、今まで寝てたのかなって思って。」
「そんなねえ、アホらしいこと言わないでよ。」 「アホですから。」
俺がそう言うと香澄は一瞬きょとんとした顔をしてから思い切り吹き出した。 「弘明君の馬鹿。」
「お前のほうがもーーーーーーーーっと馬鹿じゃないっすか?」 「そんなこと無いもん。 天才だもん 私。」
「そうか。 お前大根だったのか。」 「は? 何それ?」
「分かんねえならいいわ。 とにかく一回中に入れよ。」 「う、うん。」
誰も居ない食堂でコーヒーを飲みながら香澄と話しております。 何とか元通りになったみたいな、、、。
でも戻るの早過ぎないか? でもまあ元々が腐れ縁だし、、、。
というよりは「ただただ喧嘩してみたかっただけ。」じゃないのかなあ? あそこまで切れたってほんとに切れてるようには見えなかったし。
静かな静かな食堂で二人きり。 邪魔者が居ないんだから何でも有りになりそうな瞬間。
「昨日さあ、家に帰ったらお父さんに思い切り怒られたんだ。 宏明君が好きなら真剣に謝って来い!って。」 「それでその袋をぶら下げてきたのか?」
俺は香澄が肩から下げている袋がさっきから気になっていてずっと見てたんだ。 「ああ、これね?」
香澄がテーブルに置いた袋の中から折り詰めを二つ取り出した。 「お父さんが弘明君と食べてこいって作ってくれたの。」
折り詰めを開けてみるとまあまあ寿司じゃあーりませんか。 醤油まで付けてある。
俺は戸棚から小鉢を二つ持ってきた。 「お父さんが作ったのか?」
「何か有るとね、魚を釣ってきて作ってくれるのよ。」 「食べようか。」
鰯に秋刀魚、鱚に帆立、鮪の赤身に中トロ。 おまけにアオリイカに新子。
乙な物を揃えてくれるじゃねえか。 さすがは魚屋だなあ。 ご飯も美味いし。
「弘明君 許してくれる?」 「最初から何にも気にしてねえから許すも許さねえも無いよ。」
「ほんとに?」 「お前と俺の仲だろう? 気にすんなよ。」
そしたら香澄がワーッと泣き出しちまった。 「おいおい、泣かなくてもいいだろう?」
「だってこんなに優しい宏明君を見たの初めてなんだもん。」 「すんませんなあ。 いっつも意地悪で。」
「やっと分かったの?」 「何が?」
「意地悪だったって。」 「お前がな。」
「何よ? 分かってないじゃない。」 「やっと気が付いた?」
「あのねえ、私は本気で、、、。」 「あなたが好きですって言いに来たんだろう?」
「そ、そうなのよ。 って何を言わせるの? 許さないんだからーーーーー。」 「お、いつもの香澄様に戻ったなあ。」
「何だと? こらーーーー。」 「ぜんぜん怖くないわ。 なあ、お嬢様。」
「だーかーらー、お嬢様はやめてって何回言えば分かってくれるの?」 「死ぬまで分からないかもねえ。」
「もう、、、。」 そこへ電話が掛かってきた。
母ちゃんまでが心配しております。 「香澄ちゃんよ。 香澄ちゃんが居ないから落ち込んでるの。」
「そっか。 香澄ちゃんか。 呼べばいいじゃん。」 「ちょい待ち。」
「何 ジェリーみたいなことを言ってんだ? 香澄ちゃんと何か有ったのか?」 「まあ呼んでみたら分かるわよ。」
「そうねえ。」 ということで俺の話なんか聞かずに母ちゃんは香澄を呼び付けたのでありました。
当の香澄はというと呼ばれて嬉しかったのか、妙に弾んでおります。 「嬉しそうねえ。 香澄ちゃん?」
「そりゃあまあ、、、。」 「何畏まってんだよ 馬鹿。」
「うわ、また私を馬鹿にした。」 「いいのいいの。 そんなのはほっといて。 お腹空いたでしょう?」
「はーい。」 「調子のいいやつだなあ。」
「弘明君とは違うから。」 「いいんだもん。 拗ねてやるんだもん。」
「こんな所で私の真似しないでよ。」 「ここでやんなきゃ何処でやるんだよ? 馬鹿。」
「馬鹿馬鹿うるさいなあ。」 「お前だって言うてるやんか。 馬鹿。」
「香澄ちゃん そんなの相手にしなくていいからこっちに来なさいよ。」 「はーい。」
「まったくもう、、、。」 「弘明はそこに有るでしょう?」
なぜか俺だけ小さな机にご飯が置いてある。 食べる気が失せてしまった俺は部屋に戻って布団に潜り込んだ。
食堂では母ちゃんと姉ちゃんと香澄が楽しそうに話しながら食事中。 そこへ父さんが帰ってきた。
「あれ? 宏明は?」 「さあねえ。 上に居るんじゃないの?」
「香澄ちゃんが居るのにか?」 「何かしょんぼりしてるから香澄ちゃんを呼んだのよ。 そしたらさあ、いじけちゃって出てこないの。」
「そうか。」 父さんは珍しく俺の部屋に入ってきた。
そこで俺はこれまでの成り行きを話したんだ。 「そうか。 それはちょっとダメだな。」
顰め面をした父さんは一階へ下りて行った。 「香澄ちゃんは帰りなさい。」
「えーーー? 何でよ? 父さん?」 「お前、弘明の話を聞いたのか?」
「そりゃあちっとは、、、。」 「何で全部聞かないんだ? ちょっとしか聞かないで分かったような顔をしてたのか?」
母ちゃんも姉ちゃんも黙り込んでしまった。 「香澄ちゃん 宏明に会う気が無いんなら帰ってくれ。 居たってどうしようもないから。」
「そんなこと、、、。」 「分かりました。 帰ります。」
真っ蒼になっているのは姉ちゃんだ。 やんやと囃し立てて俺を隅に追いやってたんだから。
「和江、弘明を呼んできなさい。」 しゅんとした姉ちゃんは俺を呼びに来た。
食堂に入ってみると香澄の姿は無い。 俺がきょとんとしていると、、、。
「香澄ちゃんには帰ってもらった。 ちょっと喧嘩したくらいでこれはやり過ぎだよ。 いずれお前たちは仲直りするだろう。 周りが手を出すことじゃない。」
倒産はそう言うと黙って夕食を食べ始めた。 「弘明 お前もこっちに来い。」
そう言ってから姉ちゃんを黙って見据えている。 黙ったまま姉ちゃんは俺の食事をテーブルに運んでいった。
何とまあ静かな夜だろう。 さっきまであれほど賑やかだった笑い声も静まってしまっている。
香澄のことが気にならないことも無いけれど、、、。
そのまま夜が明けましてまたまた朝が来ました。 「はーあ、今日もまた暇な一日が、、、。」
そう思っていると小百合が電話を掛けてきた。 「ねえねえ弘明君。 香澄と何かやらかしたの?」
「は? 何か言ってた?」 「弘明君と喧嘩したから会えなくなったって、、、。」
「馬鹿だなあ。 いつも通りに揶揄ってただけなんだけど。」 「そうなの?」
「あいつさあ、すぐに噴火するだろう?」 「確かにね。」
「だからそんなんだったらいいわって言ったんだよ。」 「そっか。 それだけか。」
「まあどうせ寂しくなったら絡んでくるんだからほっといても大丈夫だよ。」 「それならいいんだけど、、、。」
それで終わりかと思ったら普段は滅多に電話なんか掛けてこない芳子が電話を掛けてきた。 「ねえねえ吉田君。 香澄ちゃんと何が有ったの?」
「おいおい、お前らどうしたんだよ?」 「何か話が回ってきたから気になっちゃって、、、。」
「誰が話しを広げたんだ?」 「律子。」
「あの野郎、、、。」 「ほんとに大丈夫なの?」
「大丈夫も何もただの喧嘩だから心配するな。」 「そうなの?」
「香澄も香澄で噴火し過ぎるから困るんだよ。」 「まあねえ。 あの子は前からそうだもんねえ。」
「分かったらそれでよろしい。」 やっと電話を切って床に寝転がる。
ウトウトしていると玄関のチャイムが鳴った。 「今度は誰だよ?」
恐る恐るドアを開けてみると、、、。 「弘明君。 ごめんなさい。」
やけに畏まった顔の香澄が立っていた。 「だから何?」
「昨日の、、、。」 「俺は何とも思ってねえよ。」
「でも、、、。」 「いつものことなんだからさ。」
「そんなんじゃないもん。 ほんとに腹が立ったんだもん。」 「今まで寝てたのか?」
「は? 何言ってんの?」 「腹が立ったって言うからさあ、今まで寝てたのかなって思って。」
「そんなねえ、アホらしいこと言わないでよ。」 「アホですから。」
俺がそう言うと香澄は一瞬きょとんとした顔をしてから思い切り吹き出した。 「弘明君の馬鹿。」
「お前のほうがもーーーーーーーーっと馬鹿じゃないっすか?」 「そんなこと無いもん。 天才だもん 私。」
「そうか。 お前大根だったのか。」 「は? 何それ?」
「分かんねえならいいわ。 とにかく一回中に入れよ。」 「う、うん。」
誰も居ない食堂でコーヒーを飲みながら香澄と話しております。 何とか元通りになったみたいな、、、。
でも戻るの早過ぎないか? でもまあ元々が腐れ縁だし、、、。
というよりは「ただただ喧嘩してみたかっただけ。」じゃないのかなあ? あそこまで切れたってほんとに切れてるようには見えなかったし。
静かな静かな食堂で二人きり。 邪魔者が居ないんだから何でも有りになりそうな瞬間。
「昨日さあ、家に帰ったらお父さんに思い切り怒られたんだ。 宏明君が好きなら真剣に謝って来い!って。」 「それでその袋をぶら下げてきたのか?」
俺は香澄が肩から下げている袋がさっきから気になっていてずっと見てたんだ。 「ああ、これね?」
香澄がテーブルに置いた袋の中から折り詰めを二つ取り出した。 「お父さんが弘明君と食べてこいって作ってくれたの。」
折り詰めを開けてみるとまあまあ寿司じゃあーりませんか。 醤油まで付けてある。
俺は戸棚から小鉢を二つ持ってきた。 「お父さんが作ったのか?」
「何か有るとね、魚を釣ってきて作ってくれるのよ。」 「食べようか。」
鰯に秋刀魚、鱚に帆立、鮪の赤身に中トロ。 おまけにアオリイカに新子。
乙な物を揃えてくれるじゃねえか。 さすがは魚屋だなあ。 ご飯も美味いし。
「弘明君 許してくれる?」 「最初から何にも気にしてねえから許すも許さねえも無いよ。」
「ほんとに?」 「お前と俺の仲だろう? 気にすんなよ。」
そしたら香澄がワーッと泣き出しちまった。 「おいおい、泣かなくてもいいだろう?」
「だってこんなに優しい宏明君を見たの初めてなんだもん。」 「すんませんなあ。 いっつも意地悪で。」
「やっと分かったの?」 「何が?」
「意地悪だったって。」 「お前がな。」
「何よ? 分かってないじゃない。」 「やっと気が付いた?」
「あのねえ、私は本気で、、、。」 「あなたが好きですって言いに来たんだろう?」
「そ、そうなのよ。 って何を言わせるの? 許さないんだからーーーーー。」 「お、いつもの香澄様に戻ったなあ。」
「何だと? こらーーーー。」 「ぜんぜん怖くないわ。 なあ、お嬢様。」
「だーかーらー、お嬢様はやめてって何回言えば分かってくれるの?」 「死ぬまで分からないかもねえ。」
「もう、、、。」 そこへ電話が掛かってきた。



