土曜日になりました。 商店街は夏祭りの準備を始めたようですねえ。
空き地では笛や太鼓の練習をしております。 いいもんだねえ。
これをうるさいだの何だのって騒いでる連中が居るって言うけど、そっちのほうが余程にうるさいじゃないか。 町全体で盛り上がってる祭りも有るんだし、考えてくれよ。
最近じゃ盆踊りもやらないって言うよね。 何で?
商店街をブラブラと歩いてみる。 先輩が祭りの準備をしている。
「おー、宏明じゃないか。 学校はどうだ?」 「なかなかいいもんですよ。」
「お前、彼女くらい作ったか?」 「それはまだまだ。」
「早く作れ。 作らねえと田川みたいなおっさんになっちまうぞ。」 「俺、まだおっさんじゃないけど。」
「頑張ります。」 「馬鹿。 頑張って作れるんなら田川も結婚してるわ。」
動き回っていた人たちはそれを聞いて爆笑した。 仲いいなあ。
クレープ屋が在る。 時々は買いに来る店だ。
何年か前にボヤ騒ぎを起こした店だよなあ。 後で聞いたら煙草を投げていったやつが居たんだって。
どいつもこいつもろくなことやんねえなあ。 どうなってんだい 今の日本人は?
商店街の隅っこには小さいけど床屋が在る。 俺もよく切ってもらう床屋だ。
じいさんから三代目。 親父さんにはよく可愛がってもらった。
「お前、陸上の選手になれ。」なんてよく言ってたっけな。 今や帰宅部なのに。
その商店街を抜けて通りを歩いていく。 何の予定も無く寄る所も無い。
すると見覚えの有る車が近付いてきた。 「誰だろう?」
「よく見ると香澄が乗っている。 「何でこんな所で会うんだよ?」
逃げようとしたけれどクラクションが鳴って香澄が飛んできた。 「ねえねえ弘明君。 どっか行くの?」
「家に帰るとこだよ。」 「面白くないなあ。 映画見に行かない?」
「映画?」 「そうそう。 クラシカルワールドってやつなんだけどさあ、、、。」
「お前とか?」 「ダメかなあ?」
そこで香澄はまたまた物悲しそうな顔をするもんだからつい「行くよ。」って言っちまった。 馬鹿だなあ。
映画館に入ると親父さんが二人分の券を買ってくれた。 「仲良く見といでよ。」
「しゃあねえなあ。」 「行くって言ったんだもん。 来てもらわないと困るわよ。」
ポップコーンとコーラを買って中へ入る。 二人並んで椅子に座って上映が始まるのを待っている。
コーラを飲みながら香澄を見ていると、、、。 「何 私を見てるのよ?」って聞いてきた。
「別に見たくて見てるわけじゃないよ。」 「冷たいなあ。 もっと見てもいいのに。」
「お前が蛸にでもなったら見てやるよ。」 「ひどいなあ。 映画館に来てまで私を虐めるのね? お父さんに叱ってもらうんだから。」
「いいよ。 叱らなくても。」 「どういう意味よ?」
「まあ、おとなしくしてろよ。 映画が始まるんだから。」 「う、うん。」
そして二人揃って映画を見ております。 隣にはポップコーンをクチャクチャやってるうるさいお姉ちゃんが座ってます。
たまにそいつのほうを見てやると食べるのをやめるんだよね。 だったら最初から食べるなよ。
2時間ほどしてエンドロールが流れ、会場に蛍光灯が点きました。 香澄はどうやら感動しまくっているご様子。
なかなか立たないもんだから「行くぞ。」って耳元で囁いてやりましょう。 「くすぐったいなあ。 もう。」
「死んでるんじゃないかと思ったわ。」 「あなたみたいに簡単には死なないわよ。」
膨れっ面をするもんだから思い切り脇を擽ってやる。 「ワー、彼女を虐める男が居るーーーー。」
通路を走りながら叫ぶもんだからお父さんが慌てて飛んできた。 「誰だ? そいつは?」
「あ、あ、あ、あ、あの、、、。」 「ほら見ろ。 お前が余計な騒ぎを起こすから、、、。」
「弘明君が虐めるから悪いのよ。 弁償しなさいよね。」 「なんだ、弘明君か。 もっとやってもいいぞ。」
「お父さん、それは無いよ。」 「お前は虐められるくらいがちょうどいいんだからな。」
「そんなこと言ったって、、、。」 「腹減ったなあ。」
「じゃあここいらで昼飯にしよう。 美味い店が在るんだ。」 お父さんはビルを出るとさっさと歩いていきました。
その後を追い掛けて付いていくのですが、、、。 「あれあれ? 今日は休みだって。」
「なあんだ。 食べれないじゃない。」 「他の店に行こう。」
それでやっと辿り着いたのは丼が美味いって言われている店。 「なんか古い店だなあ。」
「いいんだ。 ここは古くからやってるんだから。」 入ってみると手前にはテーブルが並んでいて、奥には座敷が続いています。
その座敷に上がるとテーブルを囲んでメニュー表を、、、。 「俺は海鮮丼でいい。 香澄たちはどうするんだね?」
「私は親子丼でいいわ。」 「じゃあ俺も同じくで。」
注文した後、お父さんは煙草を取り出して吹かし始めました。 この店ではまだまだ吸えるらしい。
この頃は分煙だとか言ってやたらうるさいのになあ。 「この店の主人はあんまりうるさくは言わない人なんだよ。 それが嫌いだったら他の店に行けばいい。 そういう人なんだ。」
お姉さんがお茶を運んできてくれた。 水じゃないんだね。
厨房では鍋から湯気が立ち上っていていかにも美味しそうな匂いが漂ってくる。 (静かでいい店だな。)
まさかこんな店が在ったなんて今まで知らなかったよ。 俺は感激しながら壁に目をやった。
そこには女優らしい女の写真が飾られていた。 「へえ、こんな人も食べに来たのか。」
お父さんもどっか感激してるみたい。 香澄は運ばれてきた親子丼の多さにびっくり。
「これ、食べ切れるかなあ?」 「お前なら食えるって。 妖怪なんだから。」
「馬鹿にしないでよ。 私は人間です。」 「へえ、そうなの?」
「だからさあ、弘明君 雰囲気を考えてよ。」 「それくらいで噴火するお前のほうがうるさいと思うけど。」
「二人とも仲いいんだなあ。 このまんま仲良くしなさい。」 お父さんの一言に香澄は黙り込んだ。
そして、、、。 「やっぱり入らないわ。 食べて。」
「しゃあねえなあ。 食べてやるか。」 「有り難いでしょう? 食べてやるかなんて言わないでよ。」
「いちいち、うるさい。」 「分かってるわよ。 どうせうるさい女ですわ。」
「お前たち、結婚したら毎日こうなんだろうなあ。」 「たぶんね。 宏明君は分からず屋だから。」
「お前だろう? いつも騒ぎを巻き起こすのは。」 「私じゃないもん。 宏明君なんだもん。」
「始まった。 ないもん悶着。」 「何よそれ?」
「まあいいからいいから。」 「母さんが居なくて良かったな。 居たら大変だったぞ。」
「そうねえ。 居たらもっと喧嘩になってるわ。」 昼飯時でもこうなんです。
いい加減にしてくれよって言いたいんだけどなあ、俺としては。
二人分の大盛り親子丼を食べて胃袋がパンクしそうな俺は帰り道ももがいております。 「食い過ぎた。」
「ああして欲張るからよ。」 「お前が食わないから食べてやったんだよ。」
「食わないんじゃなくて食べれなかったの。 分かってないわねえ。」 「ちっとは妥協したらどうなんだ? そんな我が儘じゃあ付き合ってられないぞ。」
「いいもん。 宏明君よりいい人を見付けるんだもん。」 「無理だよ 香澄。」
「何で?」 「今まで何回そう言った? そう言っておいて宏明君しか見えてなかったよな?」
「それはそうかもだけど、、、。」 「はい。 お前の負け。」
「まだだもん。 負けてないもん。」 「言い訳無用ですわよ。 お嬢様。」
「だからさあ、その、、、。」 「お嬢様はやめてって言いたいんだろう?」
「そ、そうよ。」 「ダメダメ。 お前ほんとにお嬢様なんだから。」
俺がそう言うとお父さんが吹き出してしまった。 「危ない‼」
爆笑ついでに川に飛び込もうとするんだからなあ、、、、、、。 冗談きついわ。
空き地では笛や太鼓の練習をしております。 いいもんだねえ。
これをうるさいだの何だのって騒いでる連中が居るって言うけど、そっちのほうが余程にうるさいじゃないか。 町全体で盛り上がってる祭りも有るんだし、考えてくれよ。
最近じゃ盆踊りもやらないって言うよね。 何で?
商店街をブラブラと歩いてみる。 先輩が祭りの準備をしている。
「おー、宏明じゃないか。 学校はどうだ?」 「なかなかいいもんですよ。」
「お前、彼女くらい作ったか?」 「それはまだまだ。」
「早く作れ。 作らねえと田川みたいなおっさんになっちまうぞ。」 「俺、まだおっさんじゃないけど。」
「頑張ります。」 「馬鹿。 頑張って作れるんなら田川も結婚してるわ。」
動き回っていた人たちはそれを聞いて爆笑した。 仲いいなあ。
クレープ屋が在る。 時々は買いに来る店だ。
何年か前にボヤ騒ぎを起こした店だよなあ。 後で聞いたら煙草を投げていったやつが居たんだって。
どいつもこいつもろくなことやんねえなあ。 どうなってんだい 今の日本人は?
商店街の隅っこには小さいけど床屋が在る。 俺もよく切ってもらう床屋だ。
じいさんから三代目。 親父さんにはよく可愛がってもらった。
「お前、陸上の選手になれ。」なんてよく言ってたっけな。 今や帰宅部なのに。
その商店街を抜けて通りを歩いていく。 何の予定も無く寄る所も無い。
すると見覚えの有る車が近付いてきた。 「誰だろう?」
「よく見ると香澄が乗っている。 「何でこんな所で会うんだよ?」
逃げようとしたけれどクラクションが鳴って香澄が飛んできた。 「ねえねえ弘明君。 どっか行くの?」
「家に帰るとこだよ。」 「面白くないなあ。 映画見に行かない?」
「映画?」 「そうそう。 クラシカルワールドってやつなんだけどさあ、、、。」
「お前とか?」 「ダメかなあ?」
そこで香澄はまたまた物悲しそうな顔をするもんだからつい「行くよ。」って言っちまった。 馬鹿だなあ。
映画館に入ると親父さんが二人分の券を買ってくれた。 「仲良く見といでよ。」
「しゃあねえなあ。」 「行くって言ったんだもん。 来てもらわないと困るわよ。」
ポップコーンとコーラを買って中へ入る。 二人並んで椅子に座って上映が始まるのを待っている。
コーラを飲みながら香澄を見ていると、、、。 「何 私を見てるのよ?」って聞いてきた。
「別に見たくて見てるわけじゃないよ。」 「冷たいなあ。 もっと見てもいいのに。」
「お前が蛸にでもなったら見てやるよ。」 「ひどいなあ。 映画館に来てまで私を虐めるのね? お父さんに叱ってもらうんだから。」
「いいよ。 叱らなくても。」 「どういう意味よ?」
「まあ、おとなしくしてろよ。 映画が始まるんだから。」 「う、うん。」
そして二人揃って映画を見ております。 隣にはポップコーンをクチャクチャやってるうるさいお姉ちゃんが座ってます。
たまにそいつのほうを見てやると食べるのをやめるんだよね。 だったら最初から食べるなよ。
2時間ほどしてエンドロールが流れ、会場に蛍光灯が点きました。 香澄はどうやら感動しまくっているご様子。
なかなか立たないもんだから「行くぞ。」って耳元で囁いてやりましょう。 「くすぐったいなあ。 もう。」
「死んでるんじゃないかと思ったわ。」 「あなたみたいに簡単には死なないわよ。」
膨れっ面をするもんだから思い切り脇を擽ってやる。 「ワー、彼女を虐める男が居るーーーー。」
通路を走りながら叫ぶもんだからお父さんが慌てて飛んできた。 「誰だ? そいつは?」
「あ、あ、あ、あ、あの、、、。」 「ほら見ろ。 お前が余計な騒ぎを起こすから、、、。」
「弘明君が虐めるから悪いのよ。 弁償しなさいよね。」 「なんだ、弘明君か。 もっとやってもいいぞ。」
「お父さん、それは無いよ。」 「お前は虐められるくらいがちょうどいいんだからな。」
「そんなこと言ったって、、、。」 「腹減ったなあ。」
「じゃあここいらで昼飯にしよう。 美味い店が在るんだ。」 お父さんはビルを出るとさっさと歩いていきました。
その後を追い掛けて付いていくのですが、、、。 「あれあれ? 今日は休みだって。」
「なあんだ。 食べれないじゃない。」 「他の店に行こう。」
それでやっと辿り着いたのは丼が美味いって言われている店。 「なんか古い店だなあ。」
「いいんだ。 ここは古くからやってるんだから。」 入ってみると手前にはテーブルが並んでいて、奥には座敷が続いています。
その座敷に上がるとテーブルを囲んでメニュー表を、、、。 「俺は海鮮丼でいい。 香澄たちはどうするんだね?」
「私は親子丼でいいわ。」 「じゃあ俺も同じくで。」
注文した後、お父さんは煙草を取り出して吹かし始めました。 この店ではまだまだ吸えるらしい。
この頃は分煙だとか言ってやたらうるさいのになあ。 「この店の主人はあんまりうるさくは言わない人なんだよ。 それが嫌いだったら他の店に行けばいい。 そういう人なんだ。」
お姉さんがお茶を運んできてくれた。 水じゃないんだね。
厨房では鍋から湯気が立ち上っていていかにも美味しそうな匂いが漂ってくる。 (静かでいい店だな。)
まさかこんな店が在ったなんて今まで知らなかったよ。 俺は感激しながら壁に目をやった。
そこには女優らしい女の写真が飾られていた。 「へえ、こんな人も食べに来たのか。」
お父さんもどっか感激してるみたい。 香澄は運ばれてきた親子丼の多さにびっくり。
「これ、食べ切れるかなあ?」 「お前なら食えるって。 妖怪なんだから。」
「馬鹿にしないでよ。 私は人間です。」 「へえ、そうなの?」
「だからさあ、弘明君 雰囲気を考えてよ。」 「それくらいで噴火するお前のほうがうるさいと思うけど。」
「二人とも仲いいんだなあ。 このまんま仲良くしなさい。」 お父さんの一言に香澄は黙り込んだ。
そして、、、。 「やっぱり入らないわ。 食べて。」
「しゃあねえなあ。 食べてやるか。」 「有り難いでしょう? 食べてやるかなんて言わないでよ。」
「いちいち、うるさい。」 「分かってるわよ。 どうせうるさい女ですわ。」
「お前たち、結婚したら毎日こうなんだろうなあ。」 「たぶんね。 宏明君は分からず屋だから。」
「お前だろう? いつも騒ぎを巻き起こすのは。」 「私じゃないもん。 宏明君なんだもん。」
「始まった。 ないもん悶着。」 「何よそれ?」
「まあいいからいいから。」 「母さんが居なくて良かったな。 居たら大変だったぞ。」
「そうねえ。 居たらもっと喧嘩になってるわ。」 昼飯時でもこうなんです。
いい加減にしてくれよって言いたいんだけどなあ、俺としては。
二人分の大盛り親子丼を食べて胃袋がパンクしそうな俺は帰り道ももがいております。 「食い過ぎた。」
「ああして欲張るからよ。」 「お前が食わないから食べてやったんだよ。」
「食わないんじゃなくて食べれなかったの。 分かってないわねえ。」 「ちっとは妥協したらどうなんだ? そんな我が儘じゃあ付き合ってられないぞ。」
「いいもん。 宏明君よりいい人を見付けるんだもん。」 「無理だよ 香澄。」
「何で?」 「今まで何回そう言った? そう言っておいて宏明君しか見えてなかったよな?」
「それはそうかもだけど、、、。」 「はい。 お前の負け。」
「まだだもん。 負けてないもん。」 「言い訳無用ですわよ。 お嬢様。」
「だからさあ、その、、、。」 「お嬢様はやめてって言いたいんだろう?」
「そ、そうよ。」 「ダメダメ。 お前ほんとにお嬢様なんだから。」
俺がそう言うとお父さんが吹き出してしまった。 「危ない‼」
爆笑ついでに川に飛び込もうとするんだからなあ、、、、、、。 冗談きついわ。



