俺の彼女は高校教師

 電車の中で俺たちはくだらない突っ込み合いをしております。 「昨日 何処に行ってたのよ?」
「いいだろう? 何処だって。」 「場所によっては彼女としては許せないわよ。」
「俺しか知らない友達だって居るんだぞ。 馬鹿。」 「そうやって馬鹿馬鹿言ってるってことはさらに怪しいのよねえ。 何処に行ったのよ?」
「うっせえやつだなあ。 コナンでも呼んで調べてもらったらどうだ?」 「高橋先生に会ったのね?」
「さあねえ。」 「あらあら、ごまかした。 不思議だなあ。」
 その時、電車が急ブレーキを掛けました。 それに煽られたのか香澄は転がっていきましたわ。
「大丈夫か?」 「いたーーーい。 何でいきなり止まるのよ?」
「俺に聞いたって知るかよ。 アホ。」 「冷たいなあ。 彼女が転んだのに、、、。」
 「皆様にお知らせいたします。 お客様がホームから転落されまして非常ボタンによって停車しております。 救出作業が終わりますまで停車いたしますのでご了承くださいませ。」
「やれやれ、ホームから落ちたってな?」 「そんな言い方しないの。」
「ごめんごめん。」 「だからさあ、何処に行ってたのよ?」
「うるさいやつだなあ。 ショッピングモールだよ。」 「この辺にそんなの有ったっけ?」
(やべ、無かったっけ?) それからの俺は香澄を無視して窓の外を見ております。
 その間、香澄はどうやら誰かにメールを打っているようですが、、、。 「うーーーん、高橋先生でもないのか。」
どっか悔しそうな声が聞こえてきました。 まったくしょうがねえやつだなあ。
と思ったらくっ付いてきて「やっぱり弘明君の傍が一番いいなあ。」なんて言っております。 どっちなんだよ こいつ?
 電車を降りても香澄の温盛が残ってて何だか嫌な気分。 こないだは美和を抱っこしたのになあ。
でもさあ、これから夢雨ちゃんもたまに来るって言ってたよなあ。 二人きりになれなくなるじゃん。
どうしたらいいんだべ? 困るーーーーーーでございますよ。
 そんなこんなでモヤモヤしたまま家に帰ってきました。 母ちゃんは選挙の準備が有るとかでちっとも落ち着いてません。
あっちこっちに電話しながら溜息を吐いたり怒ったりしてます。 どっちかにしてくれよ。
 夕食を食べながら父さんもどっか怪訝そうな顔、、、。 嫌な雰囲気だなあ。
そこへ飛び回っていた姉ちゃんがお土産を持って帰ってきました。 三つのツアーに立て続けに行ってたんだって。
 「やっと帰れた。」 「長かったねえ。」
「だって帰ってきたと思ったら次のツアーが待ってて、西に東に飛び回ってたから。」 「大丈夫なのか? そんなんで。」
「一応ね、会社のほうで休みは取らせてもらってたからいいのはいいんだけど、、、。」 「先週は福岡からお土産送ってくれたよねえ?」
「ああ、辛子明太子ね。 どうだった?」 「嫌になるくらい辛くも無いし出汁が利いてるなって感じで美味しかったよ。」
「良かった。 あれさあ有名店のやつじゃないの。」 「そうだろうなあ。 見たことの無い名前だったから。」
「有名店のやつは辛いんだよ。 辛いのが好きならそっちのほうがいいらしいけど、、、。」 「今日は何だい?」
「ああ、これね? 岩手のカモメの卵と秋田のキリタンポ。」 「おやおや、またまた不思議な物を、、、。」
 俺は味噌汁を飲みながら姉ちゃんを見ております。 しばらく見てなかったからなあ。
話によると福岡を中心に九州を回って帰ってきたら大阪に飛んで、帰ってきたら岩手と秋田に行ったんだって。
 大阪じゃあたこ焼きをたくさん食べたんだってね。 そんなに食べなくてもいいのに、、、。
まあ、たこ焼きとお好み焼きは大阪だからなあ。 なんせお好み焼きとご飯が一緒に出てくるんだから。
 すき焼きも大阪と東京で偉く違うんだよなあ。 大阪は鉄板焼きだ。
東京は全部まとめてグツグツ煮ちゃうのに。 どっちがいいんだろう?
 「弘明もカモメの卵食べてみな。」 姉ちゃんが俺に卵をくれた。
本当に卵型。 でもなんか美味しそう。
餡子がいいねえ。 なんかねっとりしてて。
 香澄だったら大騒ぎだろうなあ。 「もっと食べたいーーーーーー。」って。
そんなことを考えながら時計を見るともう9時。 速いなあ。
 翌火曜日もまたまた朝から大騒ぎですわ。 「ねえねえ弘明君。 旅行するとしたら何処に行きたい?」
「は?」 「そろそろさあ修学旅行も行き先を決めなきゃいけないのよ。 分かってる?」
「そうだった。 すっかり忘れてたよ。」 「もう。 高橋先生にのぼせてるからそうなるのよ。」
「それとこれとは関係無いだろう?」 「有り過ぎます。 あなたは弛んでるのよ。」
「お前の顔のほうが余程に弛んでるけど、、、、。」 「何ですって? 私の顔が弛んでる?」
「よく言った。」 「りっちゃん。」
「何?」 「それは言い過ぎじゃ?」
「いいじゃん。 たまには香澄も、、、。」 「ったく、、、、。」
 騒がしい教室の中で修学旅行のことを改めて考えてみる。 最近じゃあスキー旅行とか流行ってるらしいけど、、、。
でもさあ秋の北海道もいいよねえ? っていい加減に決めないと何処にも行けなくなるぞ。
取り敢えず10月の中間考査明けに行くことだけは決まってるんだ。 しかも一週間。
 地図を開いてみる。 富良野 網走 釧路 函館、、、。
北見にも行ってみたいよなあ。 札幌は有り触れてて行く気がしないんだよなあ。
苫小牧、ここもいいかなあ? うーーーん、候補地が多過ぎる。
(よし。 担任と話し合おう。) 昼休みになったら作戦会議だ。

 そんなこんなでバタバタしていたら放課後になった。 「ねえねえ今日もさあ一緒に帰ろうねえ。」
「何だよ? きもいなあ。」 「きもいって? 誰に言ってるのよ?」
「もちろんお嬢様ですわよ。」 「弘明君こそきもいわよ。」
「そんな俺が大好きなんだろう?」 「う、うん。」
「素直でよろしい。」 「何よ 偉そうに。」
 いつもの通りの突っ込み合いをしながら駅までの道を歩いていく。 車も多くなったなあ。
もうすぐ夏。 今年も海に行きたいなあ。
 「ねえねえ弘明君。 今年の夏休みはどうするの?」 「まだ決めてないけど。」
「来月には夏休みなんだよ。 何かやらないの?」 「その前に期末考査が有るだろう。」
「それはそうだけどさあ、何かやらないの?」 「お前は何かやらないのか?」
「私はまだ考えてないわよ。」 「お前が無いんだったら俺も無いわ。」
「冷たいなあ。 一つくらい考えてよ。」 「じゃあさあ、お嬢様を逆さ吊りにして町中を練り歩くってのはどうだ?」
「誰を吊り上げるの?」 「もちろんお前だよ。」
「えーーーーー? 私なの? 恥ずかしいーーーーー。」 「じゃあさあ律子でも付けてやろうか?」
「うーーーーーん、、、それは嫌だなあ。」 「冷たいやつだなあ。」
「だいたいさあ、何で私が吊り下げられなきゃいけないのよ?」 「スタイルもいいし、元気だし、若いし、いいと思いますがねえ。」
「それってさあ単なる虐めじゃない。」 「そうですけど何か?」
「ひどいなあ。 彼女を裸にして逆さ吊りにするなんて、、、。」 「何? 脱がされたいのか?」
「そんなんじゃないわよ。 馬鹿。」 「いつもの香澄様の登場ですなあ。」
「何よ? 虐めるだけ虐めておいて。」 「ほら、これ。」
 俺は燻ぶっている香澄に飴の袋を渡した。 「えーーーー? これって私が好きなやつじゃない。 探してくれたの?」
「そうでございますよ。 お嬢様。」 「だからさあ、お嬢様はやめてって。 でも宏明君って私のことが好きなのよね?」
「そうかなあ? 嫌いじゃないけど、、、。」 「ってことは好きなのよね? 良かったあ。」
「まだ何にも言ってないんだけど。」 「いいのいいの。 そのうちに分かるから。」
飴を舐めている香澄はどっかご機嫌なんですわ。 こんな時が危ないの。
突然に何を言い出すか分からないから。 「ねえねえ弘明君 結婚して。」
「ほら来た。」 「何よ? 意地悪。」
「ここで脱ぐだけの勇気が有ったら認めてやるよ。」 「えーーーー? 改札口の前じゃない。 こんな所じゃ脱げないわよ。 馬鹿。」
「じゃあお預けね。」 「やだやだやだ。 結婚してくれーーー。」
「まだ早いっての。 分かんないやつだなあ。」 「いいもん。 卒業したら押し掛けてやるんだもん。」
「明日にでも来そうな勢いだけどなあ。」 「そう思う?」
「バリそう感じてますが。」 「行こうかなあ。 好きなんだもん。」
「やめてくれ。 こんな所で告白するのは。」 「恥ずかしいんでしょう? 可愛い。」
「おかしいわ お前。」 「そうねえ。 おかしいかもねえ。」
 ここまで歩いてきたのは何だったんだろう? 香澄の弘明病は治らないようであります。
だれか治す方法を教えてくれーーーー。