と、そこへ美和が入ってきた。 「あらあら香澄ちゃんも来てたの?」
「うん。」 「そっか。 今日は3人で過ごすのね。」
俺と香澄に視線を交互に走らせてから美和も椅子に座った。 緊張するぜ。
3人揃って黙ったまま本を読んでおります。 時々香澄がクスッと笑うのが聞こえる程度。
廊下では2年の連中が追い掛けっこをしてるみたい。 美和とやってみたいなあ。
俺が美和の横顔を見詰めていると香澄が覗いてきた。 (ゲ、来るなっての。)
そして何やら美和に目配せをした模様。 美和がチラッと俺を見た。
(すんげえ緊張するんですけど、、、。) 女二人にジロジロと見詰められては適わない。
なんとか本で隠しながら二人の顔を覗いてみる。 そしたら美和が噴き出した。
「弘明君 さっきから何をキョロキョロしてるの?」 「そうだそうだ。 気味悪ーーーーい。」
(二人で俺を釘付けにしといてそれはねえだろう?) 何だか張り付けにされた気分だぜ。
俺が本で顔を隠すと香澄がクスクス笑い出した。 「弘明君 恥ずかしがらなくてもいいのよ。 私も先生も分かってるんだから。」
「何を?」 「私のことも先生のことも死にたくなるくらいに大好きなのよねえ?」
「ギク、、、。」 「あらあら弘明君 そうだったの? 香澄ちゃんも好きだったのか。」
「いやいや香澄は小学生の頃から、、、。」 「ずーーーーーっと一緒に遊んでたのよねえ。」
「そっか。 仲良しなのね?」 「いや、だから、、、。」
「いいのよ。 私は何とも思ってないから。」 そう言って美和は本を閉じると出ていってしまった。
「おめえが余計なことを言うから、、、。」 「いいんだもん。 好きなんだもん。 いいじゃない。」
「だからってあれは、、、。」 「そんなに高橋先生が好きなの? どっちが好きなの? ねえ弘明君。」
仁王様みたいな顔で香澄が迫ってくる。 (怖いやつだなあ。)
「ねえねえ、どっちなの?」 「どっちも友達だよ。」
「えーーーーーーーーーーーー! やっぱりそうだったんだあ。」 「驚き過ぎだってばよ。」
「驚くわよ。 私も友達だったのね? ショックーーーーーーー。」 「また始まった。」
「またって何よ? またって?」 そんなことからまたまた香澄との追いかけっこが始まってしまった。
5時間目が終わってもまたまた香澄が俺に言い寄ってきた。 「ねえねえ、どっちなの?」
「だから何なんだよ?」 「ひどーーーーーい。 ここまで本気にさせといてそれは無いよねえ?」
香澄の追及は放課後になっても終わらない。 「また泣いちゃうぞ。」
「どうぞ。 ご自由に。」 「泣いていいのかなあ?」
校門を出てからも香澄は俺にくっ付いてくる。 律子でさえちょっと離れた所から俺たちを見ている。
「まったくしょうがないなあ。 あの二人はあれで楽しいのかなあ?」 首を傾げたくなる俺たちなのです。
そのまま俺たちはコンビニに飛び込んだ。 「アイス最中 食べるだろう?」
「うん。 食べたい。」 「ほら。」
「ありがとう。 優しいなあ 弘明君。」 「きもっ。」
「何? きもって何よ?」 「可愛くしてるときもいんだよ お前は。」
「ひどーーーーーい。 そこまで女の子を馬鹿にするのね? 死んでやるから。」 「どうぞ。」
「あのねえ、ちっとは考えてよ。」 「何をさ?」
「止めてくれたっていいでしょう?」 「止めなきゃいけないのか?」
「大事な彼女が死ぬって言ってるのよ。 何で停めないの?」 「死にたいんだったらどうぞ死んでくださいな。」
「ダメだこりゃ。」 それ以来、香澄は無口になってしまった。
それから俺たちは駅へ向かうんだ。 最中の感触が残ってるなあ。
思えば俺たち ずっとこうしてくっ付いたり喧嘩したりしながらやってきたんだよな。 でも嫌いになったことは無いんだ。
中学の時もそうだった。 俺たちはいつも追い掛け合っていた。
もちろん、あいつの家にも何度となく遊びに行った。 そのたびに水槽で飼ってるメダカも見せてもらったっけ。
「これさあオスとメスが居るんだよ。」 「へえ、そうなんだ。」
「メスは私でオスは弘明君なの。」 「夫婦みたいだなあ。」
「ずっと弘明君の傍に居たいから。」 「ふーーーーん。」
でもさあ小学生の頃からずっと隣に居るんだぜ。 いい加減に飽きるよな。
「ねえねえ弘明君。 何ボーっとしてるの? 行っちゃうよ。」 またまた香澄の声が聞こえた。
「いっけねえ。 乗せてくれーーー!」 でもでも無情にも電車は俺を残して行ってしまった。
香澄が行ってしまったホームでボーっとしている。 静かに風が吹いてきた。
「しょうがねえなあ。」 ブツブツ言いながら外へ出る。 そこへフェアレディーが走ってきた。
「あれあれ? 弘明君 どうしたの?」 「いや、電車に乗り遅れちまって、、、。」
「そっか。 送ってあげたいけど用事が有って急いでるのよ。 ごめんね。」 クラクションを鳴らして美和は行ってしまった。
どっちもどっちだなあ。 今日は何か付いてねえや。
下りの貨物列車が通り過ぎていった。 「来るまで待つか。」
椅子に座ってぼんやりしているとメールが来た。
『弘明君 今は何処に居るのかな?』
香澄だ。 心配してるのかな?
『まだ駅だけど、、、。』
『乗ったらさあ、うちに来てよ。』
『何か用事でも有るのか?』
『お母さんが一緒に食事をし用って言ってるのよ。』
(あの母ちゃん化、、、。 断れないな。)
『分かった。 行くよ。』
『やったあ。 待ってるねえ。』
なんか嬉しそうだなあ。 嫌な予感がしないでもないんだけどさ。
だって、あのお母さんなら俺たちが仲良しなのは知ってるし香澄が俺を好きなことも知ってるからさあ。 「結婚しろ。」なんて言って来ないよな?
30分ほどしてやっと来た電車に乗る。 美和も居ないし香澄も居ない一人旅だ。
考えてみると香澄と一緒に乗ったって面白かったんだなあ。 今頃気付いたよ。
うるさいだけだって思ってたのになあ。 あいつも高校生なんだもんなあ。
そんなこんなで物思いに耽りながら清原町にやってきました。 目指す魚屋はすぐそこ。
店に入るとお母さんが床の掃除をしてるところだった。 「あらあら弘明君 来てくれたの?」
「香澄に呼び出されちゃって。」 「今晩はうちで食べていかない?」
「ほんとにいいんですか?」 「いいわよ。 御馳走するから。」
(ますます嫌な予感。) 俺は二階へ上がった。
香澄の部屋をノックしてみる。 「まだダメ。」
「分かったよ。」 「あと5分待って。」
ゴソゴソと何かやっている。 何をしてるんだろう?
待っていたらドアが開いた。 「お待たせーーーー。」
どっかのアイドルみたいにメークした香澄が立っている。 「ング、、、。」
「何よ?」 「お前って化粧してたんだなあ。」
「今頃気付いたの?」 「顔なんて滅多と見ないから。」
「失礼ねえ。 ちゃんと見てよ。 彼女なんだから。」 「自意識過剰ですけど。」
「何ですって?」 「だ、か、ら、自意識過剰だって。」
「いいんだもん。 弘明君の奥さんになるんだもん。」 「はいはい、そうですか。」
「何よ その言い方?」 「何でもございません。」
とにかく一度は部屋に入って香澄と向き合うことに、、、。 (よく見るといい女なんだなあ。)
「何処見てるのよ?」 「別に、、、。」
「んもう、変態なんだから。」 「お前もな。」
「何でよ?」 「こんな所にパンツが落ちてますけど、、、。」
「わわわわ、見ないでよ。 ああ変態!」 「お互い様だっての。」
「私は変態じゃないから。」 「いえいえ、十分に変態ですわよ。」
「何処がよ? 弘明君よりはましだわよ。」 「ずいぶんと剥きになってますなあ。」
「いいじゃない。 言わせてもらうわよ。」 「ねえねえ、胸のボタンが外れてますけど、、、。」
「キャーーーーー、エッチーーーーー!」 「どうしようもねえな こりゃ。」
「うん。」 「そっか。 今日は3人で過ごすのね。」
俺と香澄に視線を交互に走らせてから美和も椅子に座った。 緊張するぜ。
3人揃って黙ったまま本を読んでおります。 時々香澄がクスッと笑うのが聞こえる程度。
廊下では2年の連中が追い掛けっこをしてるみたい。 美和とやってみたいなあ。
俺が美和の横顔を見詰めていると香澄が覗いてきた。 (ゲ、来るなっての。)
そして何やら美和に目配せをした模様。 美和がチラッと俺を見た。
(すんげえ緊張するんですけど、、、。) 女二人にジロジロと見詰められては適わない。
なんとか本で隠しながら二人の顔を覗いてみる。 そしたら美和が噴き出した。
「弘明君 さっきから何をキョロキョロしてるの?」 「そうだそうだ。 気味悪ーーーーい。」
(二人で俺を釘付けにしといてそれはねえだろう?) 何だか張り付けにされた気分だぜ。
俺が本で顔を隠すと香澄がクスクス笑い出した。 「弘明君 恥ずかしがらなくてもいいのよ。 私も先生も分かってるんだから。」
「何を?」 「私のことも先生のことも死にたくなるくらいに大好きなのよねえ?」
「ギク、、、。」 「あらあら弘明君 そうだったの? 香澄ちゃんも好きだったのか。」
「いやいや香澄は小学生の頃から、、、。」 「ずーーーーーっと一緒に遊んでたのよねえ。」
「そっか。 仲良しなのね?」 「いや、だから、、、。」
「いいのよ。 私は何とも思ってないから。」 そう言って美和は本を閉じると出ていってしまった。
「おめえが余計なことを言うから、、、。」 「いいんだもん。 好きなんだもん。 いいじゃない。」
「だからってあれは、、、。」 「そんなに高橋先生が好きなの? どっちが好きなの? ねえ弘明君。」
仁王様みたいな顔で香澄が迫ってくる。 (怖いやつだなあ。)
「ねえねえ、どっちなの?」 「どっちも友達だよ。」
「えーーーーーーーーーーーー! やっぱりそうだったんだあ。」 「驚き過ぎだってばよ。」
「驚くわよ。 私も友達だったのね? ショックーーーーーーー。」 「また始まった。」
「またって何よ? またって?」 そんなことからまたまた香澄との追いかけっこが始まってしまった。
5時間目が終わってもまたまた香澄が俺に言い寄ってきた。 「ねえねえ、どっちなの?」
「だから何なんだよ?」 「ひどーーーーーい。 ここまで本気にさせといてそれは無いよねえ?」
香澄の追及は放課後になっても終わらない。 「また泣いちゃうぞ。」
「どうぞ。 ご自由に。」 「泣いていいのかなあ?」
校門を出てからも香澄は俺にくっ付いてくる。 律子でさえちょっと離れた所から俺たちを見ている。
「まったくしょうがないなあ。 あの二人はあれで楽しいのかなあ?」 首を傾げたくなる俺たちなのです。
そのまま俺たちはコンビニに飛び込んだ。 「アイス最中 食べるだろう?」
「うん。 食べたい。」 「ほら。」
「ありがとう。 優しいなあ 弘明君。」 「きもっ。」
「何? きもって何よ?」 「可愛くしてるときもいんだよ お前は。」
「ひどーーーーーい。 そこまで女の子を馬鹿にするのね? 死んでやるから。」 「どうぞ。」
「あのねえ、ちっとは考えてよ。」 「何をさ?」
「止めてくれたっていいでしょう?」 「止めなきゃいけないのか?」
「大事な彼女が死ぬって言ってるのよ。 何で停めないの?」 「死にたいんだったらどうぞ死んでくださいな。」
「ダメだこりゃ。」 それ以来、香澄は無口になってしまった。
それから俺たちは駅へ向かうんだ。 最中の感触が残ってるなあ。
思えば俺たち ずっとこうしてくっ付いたり喧嘩したりしながらやってきたんだよな。 でも嫌いになったことは無いんだ。
中学の時もそうだった。 俺たちはいつも追い掛け合っていた。
もちろん、あいつの家にも何度となく遊びに行った。 そのたびに水槽で飼ってるメダカも見せてもらったっけ。
「これさあオスとメスが居るんだよ。」 「へえ、そうなんだ。」
「メスは私でオスは弘明君なの。」 「夫婦みたいだなあ。」
「ずっと弘明君の傍に居たいから。」 「ふーーーーん。」
でもさあ小学生の頃からずっと隣に居るんだぜ。 いい加減に飽きるよな。
「ねえねえ弘明君。 何ボーっとしてるの? 行っちゃうよ。」 またまた香澄の声が聞こえた。
「いっけねえ。 乗せてくれーーー!」 でもでも無情にも電車は俺を残して行ってしまった。
香澄が行ってしまったホームでボーっとしている。 静かに風が吹いてきた。
「しょうがねえなあ。」 ブツブツ言いながら外へ出る。 そこへフェアレディーが走ってきた。
「あれあれ? 弘明君 どうしたの?」 「いや、電車に乗り遅れちまって、、、。」
「そっか。 送ってあげたいけど用事が有って急いでるのよ。 ごめんね。」 クラクションを鳴らして美和は行ってしまった。
どっちもどっちだなあ。 今日は何か付いてねえや。
下りの貨物列車が通り過ぎていった。 「来るまで待つか。」
椅子に座ってぼんやりしているとメールが来た。
『弘明君 今は何処に居るのかな?』
香澄だ。 心配してるのかな?
『まだ駅だけど、、、。』
『乗ったらさあ、うちに来てよ。』
『何か用事でも有るのか?』
『お母さんが一緒に食事をし用って言ってるのよ。』
(あの母ちゃん化、、、。 断れないな。)
『分かった。 行くよ。』
『やったあ。 待ってるねえ。』
なんか嬉しそうだなあ。 嫌な予感がしないでもないんだけどさ。
だって、あのお母さんなら俺たちが仲良しなのは知ってるし香澄が俺を好きなことも知ってるからさあ。 「結婚しろ。」なんて言って来ないよな?
30分ほどしてやっと来た電車に乗る。 美和も居ないし香澄も居ない一人旅だ。
考えてみると香澄と一緒に乗ったって面白かったんだなあ。 今頃気付いたよ。
うるさいだけだって思ってたのになあ。 あいつも高校生なんだもんなあ。
そんなこんなで物思いに耽りながら清原町にやってきました。 目指す魚屋はすぐそこ。
店に入るとお母さんが床の掃除をしてるところだった。 「あらあら弘明君 来てくれたの?」
「香澄に呼び出されちゃって。」 「今晩はうちで食べていかない?」
「ほんとにいいんですか?」 「いいわよ。 御馳走するから。」
(ますます嫌な予感。) 俺は二階へ上がった。
香澄の部屋をノックしてみる。 「まだダメ。」
「分かったよ。」 「あと5分待って。」
ゴソゴソと何かやっている。 何をしてるんだろう?
待っていたらドアが開いた。 「お待たせーーーー。」
どっかのアイドルみたいにメークした香澄が立っている。 「ング、、、。」
「何よ?」 「お前って化粧してたんだなあ。」
「今頃気付いたの?」 「顔なんて滅多と見ないから。」
「失礼ねえ。 ちゃんと見てよ。 彼女なんだから。」 「自意識過剰ですけど。」
「何ですって?」 「だ、か、ら、自意識過剰だって。」
「いいんだもん。 弘明君の奥さんになるんだもん。」 「はいはい、そうですか。」
「何よ その言い方?」 「何でもございません。」
とにかく一度は部屋に入って香澄と向き合うことに、、、。 (よく見るといい女なんだなあ。)
「何処見てるのよ?」 「別に、、、。」
「んもう、変態なんだから。」 「お前もな。」
「何でよ?」 「こんな所にパンツが落ちてますけど、、、。」
「わわわわ、見ないでよ。 ああ変態!」 「お互い様だっての。」
「私は変態じゃないから。」 「いえいえ、十分に変態ですわよ。」
「何処がよ? 弘明君よりはましだわよ。」 「ずいぶんと剥きになってますなあ。」
「いいじゃない。 言わせてもらうわよ。」 「ねえねえ、胸のボタンが外れてますけど、、、。」
「キャーーーーー、エッチーーーーー!」 「どうしようもねえな こりゃ。」



