居間に入ってみる。 壁には大きな写真が飾ってある。
「これは?」 「ああ、大学生の時に山登りしたのよ。 その時の写真。」
山頂から見下ろした写真だ。 何だか吸い込まれそうだなあ。
壁際にはシナモロールのぬいぐるみが置いてある。 尻尾も真ん丸でなんか可愛い。
「シナモロール 好きなの?」 「なんかねえ、この真ん丸に癒されちゃって、、、。」
「けっこうさあ、キティーが好きだって人が多いけど、、、。」 「私はシナモンのほうがいいわね。」
本棚には小説がたっくさん並んでいる。 「これだけ有ると国語の先生でも良かったんじゃないの?」
「なんかねえ、教えるのは数学だって前から決めてたのよ。」 「何で?」
「何だろうなあ、数字のマジックでしょう 数学って。」 「確かにね。 数の学問って言うくらいだから。」
「そのマジックに嵌められたのかもね。 だから弘明君も頑張ってね。」 とっさに美和がウインクするもんだから思わず俺は赤くなった。
寝室は閉められたまま。 そりゃあ見せたくはないだろうなあ。
美和が窓を開けた。 さすがに20階から見下ろす景色は怖い物が有る。
転落防止用に柵は付いてるけれどそれでも落ちそうな気になってしまう。 俺も美和の隣に立った。
「なんか緊張するわね。」 「そう?」
景色を見ながら二人揃って黙っている。 マンション前の道をパトカーが爆走しているのが見えた。
どれくらい黙っているんだろう? 太腿が触れ合っているのに幸せな気持ちになってくる。
俺はそっと美和の腰に腕を回した。 美和は一瞬驚いた顔になって俺から離れようとしたんだけど、、、。
それでもなぜか隣に居る。 そして美和も腕を腰に回してきた。
キスしようとしたら、、、「それはまだ後で。」って首を振った。
3時を過ぎたから「送るね。」って言って美和が鍵を持った。 来た時はあれだけバクバクしてたのに帰るとなると妙に寂しいものだ。
二人でドアを閉めて地下駐車場へ下りていく。 そこには真っ赤なフェアレディーが待っている。
「また来てね。 誘うから。」 「あいよ。」
車に乗り込むと徐にエンジンを吹かす。 この駐車場は東と西にゲートが有るらしい。
馴染みの客は駐車場から中へ入るんだって。 顔認証も要らないから。
その代わり事件が起きても保証は無い。 そりゃそうだよな。
家の近くで降ろしてもらって散歩がてら帰ってきたら父さんは遊びに出たんだって。 「弘明は何処に行ってたの?」
「ああ、友達と約束してたから本屋に行ってたよ。」 「本屋か。 てっきり美和ちゃんの家にでも行ったのかと思ってたよ。」
一瞬、俺はドキッとしたけどここはまあ澄まして逃げよう。 「家って言っても何処だか知らないし、、、。」
「そうだよなあ。 お前が知ってたら大騒ぎになっちゃうよ。」 ハラハラしながら二階へ上がる。
スマホもドライブモードにしてあるからメールが来たって誰にも分からない。 (よしよし。 ひとまず安心だな。)
床に寝転がってスマホを開いてみる。 美和からメールが来ていた。
『来てくれてありがとう。 料理はどうだった? この次はどっかに出掛けようね。』
(お出掛けか。 それはちっとやばいんじゃないのか?) 香澄だってウロウロしてるんだし、、、。
あの辺なら川谷も歩き回ってるしなあ。 メールしてみようか。
『出掛けるったって香澄たちもウロウロしてるから気を付けたほうがいいよ。 あいつらに見付かったらうるさいからさ。』
それを読んで美和がどう思うかは分からない。 でも言っておくべきは言っておかないと、、、。
それにしても気持ちのいい午後だ。 このまんま寝ちまいそうだぜ。
ぼんやりしていたら香澄が電話を掛けてきた。 「ウギャオーーーーーー!」
「ワーーー、怪獣が吼えてるーーーー。」 「何が怪獣だよ?」
「びっくりした?」 「心臓が飛んでいったわ。」
「あのさあ、変な高校の先生が話題になってんだ。」 「変な高校の先生?」
「心配しなくても高橋先生じゃないから安心してね。」 「それは余計だと思うけど。」
「まあいいからヤフーニュースを見てみてよ。」 「そっか。」
香澄に言われてニュースを開いてみる。 「何だこれ?」
『受験生を応援! 高校教師 ビキニフィットネスで奮闘中。』
応援するのはいいけどさあ、ビキニは無いだろう。 ムラムラしちゃって勉強どころじゃなくなるぜ。
「私も頑張ってる姿を見せたい。」なんて言ってるけど頑張る前にやりたくなるってば。 スタイル良過ぎなんだし。
美和がこんなことをやりだしたら俺は高校を辞めるよ。 馬鹿にされてるみたいだし。
国家資格を狙ってるとか言うんなら別だけどビキニフィットネスはちょっとなあ。 応援してることにはならないんじゃないのか?
最近のお姉様方はお尻とか太腿とか胸に注目させ過ぎ。 だからちかんだの強姦だのって事件が減らないの。
ボディーライン何て見せる物でも強調する物でもないだろう? 見られたかったらなあヌード雑誌にでも出てみろよ。
惜しみなく見せられるんだぜ。 まったくよ。
「おーーーーい、ご飯だぞーーーーー。」 「やんべえ、呼んでるわ。」
父さんの声が聞こえたもんだから俺は慌てて一階へ下りていった。 「美和ちゃんはどうだった?」
「いきなり聞くなよ。」 「ごめんごめん。 遊びに行ったんだろう?」
「だから美和先生の家じゃないってば。」 「そうか。 残念だなあ。」
父さんはどっか不満そうな顔で冷ややっこを口に入れた。 (俺の顔を見れば美和 美和ってどいつもこいつもうるさいんだからなあ。)
最近は学校でもスイミングスクールでも盗撮騒ぎが起きている。 男がだらしなくなっている。
そんなに見たかったらヌード雑誌を買えよ。 AVを見たっていいだろう。
風俗に行けば鱈腹拝めるんだし子供を泣かすことも無いだろう。 何で盗撮するんだよ?
だいたいなあ、仕事頑張ってます人間ほど危ないんだよ。 アピールして頑張るもんじゃないと俺は思う。
なになに? 高校生のくせに生意気なことを言うやつだって思ったでしょう? そこのお兄さん。
父さんを見てれば分かるよ。 父さんは黙って仕事をする人だ。
どんな天才でも父さんには適わないよ。 じっくり腰を据えてやられてみろ。
あんただって勝てる保証は無いんだからね。
そんなわけで一日ハッピーな思いをさせてもらったわけなんです。 知り合って2週間だっていうのに。
誰かみたいにさあ「目が合った瞬間にビビッと来たのよ。」って言うのかなあ? 言われたらドン引きしそうだけど。
あのおばちゃん 5回くらい結婚してるよね? あんなやつは嫌だなあ。
そんなことを考えてたら寝ちゃったわ。 お休み。
「これは?」 「ああ、大学生の時に山登りしたのよ。 その時の写真。」
山頂から見下ろした写真だ。 何だか吸い込まれそうだなあ。
壁際にはシナモロールのぬいぐるみが置いてある。 尻尾も真ん丸でなんか可愛い。
「シナモロール 好きなの?」 「なんかねえ、この真ん丸に癒されちゃって、、、。」
「けっこうさあ、キティーが好きだって人が多いけど、、、。」 「私はシナモンのほうがいいわね。」
本棚には小説がたっくさん並んでいる。 「これだけ有ると国語の先生でも良かったんじゃないの?」
「なんかねえ、教えるのは数学だって前から決めてたのよ。」 「何で?」
「何だろうなあ、数字のマジックでしょう 数学って。」 「確かにね。 数の学問って言うくらいだから。」
「そのマジックに嵌められたのかもね。 だから弘明君も頑張ってね。」 とっさに美和がウインクするもんだから思わず俺は赤くなった。
寝室は閉められたまま。 そりゃあ見せたくはないだろうなあ。
美和が窓を開けた。 さすがに20階から見下ろす景色は怖い物が有る。
転落防止用に柵は付いてるけれどそれでも落ちそうな気になってしまう。 俺も美和の隣に立った。
「なんか緊張するわね。」 「そう?」
景色を見ながら二人揃って黙っている。 マンション前の道をパトカーが爆走しているのが見えた。
どれくらい黙っているんだろう? 太腿が触れ合っているのに幸せな気持ちになってくる。
俺はそっと美和の腰に腕を回した。 美和は一瞬驚いた顔になって俺から離れようとしたんだけど、、、。
それでもなぜか隣に居る。 そして美和も腕を腰に回してきた。
キスしようとしたら、、、「それはまだ後で。」って首を振った。
3時を過ぎたから「送るね。」って言って美和が鍵を持った。 来た時はあれだけバクバクしてたのに帰るとなると妙に寂しいものだ。
二人でドアを閉めて地下駐車場へ下りていく。 そこには真っ赤なフェアレディーが待っている。
「また来てね。 誘うから。」 「あいよ。」
車に乗り込むと徐にエンジンを吹かす。 この駐車場は東と西にゲートが有るらしい。
馴染みの客は駐車場から中へ入るんだって。 顔認証も要らないから。
その代わり事件が起きても保証は無い。 そりゃそうだよな。
家の近くで降ろしてもらって散歩がてら帰ってきたら父さんは遊びに出たんだって。 「弘明は何処に行ってたの?」
「ああ、友達と約束してたから本屋に行ってたよ。」 「本屋か。 てっきり美和ちゃんの家にでも行ったのかと思ってたよ。」
一瞬、俺はドキッとしたけどここはまあ澄まして逃げよう。 「家って言っても何処だか知らないし、、、。」
「そうだよなあ。 お前が知ってたら大騒ぎになっちゃうよ。」 ハラハラしながら二階へ上がる。
スマホもドライブモードにしてあるからメールが来たって誰にも分からない。 (よしよし。 ひとまず安心だな。)
床に寝転がってスマホを開いてみる。 美和からメールが来ていた。
『来てくれてありがとう。 料理はどうだった? この次はどっかに出掛けようね。』
(お出掛けか。 それはちっとやばいんじゃないのか?) 香澄だってウロウロしてるんだし、、、。
あの辺なら川谷も歩き回ってるしなあ。 メールしてみようか。
『出掛けるったって香澄たちもウロウロしてるから気を付けたほうがいいよ。 あいつらに見付かったらうるさいからさ。』
それを読んで美和がどう思うかは分からない。 でも言っておくべきは言っておかないと、、、。
それにしても気持ちのいい午後だ。 このまんま寝ちまいそうだぜ。
ぼんやりしていたら香澄が電話を掛けてきた。 「ウギャオーーーーーー!」
「ワーーー、怪獣が吼えてるーーーー。」 「何が怪獣だよ?」
「びっくりした?」 「心臓が飛んでいったわ。」
「あのさあ、変な高校の先生が話題になってんだ。」 「変な高校の先生?」
「心配しなくても高橋先生じゃないから安心してね。」 「それは余計だと思うけど。」
「まあいいからヤフーニュースを見てみてよ。」 「そっか。」
香澄に言われてニュースを開いてみる。 「何だこれ?」
『受験生を応援! 高校教師 ビキニフィットネスで奮闘中。』
応援するのはいいけどさあ、ビキニは無いだろう。 ムラムラしちゃって勉強どころじゃなくなるぜ。
「私も頑張ってる姿を見せたい。」なんて言ってるけど頑張る前にやりたくなるってば。 スタイル良過ぎなんだし。
美和がこんなことをやりだしたら俺は高校を辞めるよ。 馬鹿にされてるみたいだし。
国家資格を狙ってるとか言うんなら別だけどビキニフィットネスはちょっとなあ。 応援してることにはならないんじゃないのか?
最近のお姉様方はお尻とか太腿とか胸に注目させ過ぎ。 だからちかんだの強姦だのって事件が減らないの。
ボディーライン何て見せる物でも強調する物でもないだろう? 見られたかったらなあヌード雑誌にでも出てみろよ。
惜しみなく見せられるんだぜ。 まったくよ。
「おーーーーい、ご飯だぞーーーーー。」 「やんべえ、呼んでるわ。」
父さんの声が聞こえたもんだから俺は慌てて一階へ下りていった。 「美和ちゃんはどうだった?」
「いきなり聞くなよ。」 「ごめんごめん。 遊びに行ったんだろう?」
「だから美和先生の家じゃないってば。」 「そうか。 残念だなあ。」
父さんはどっか不満そうな顔で冷ややっこを口に入れた。 (俺の顔を見れば美和 美和ってどいつもこいつもうるさいんだからなあ。)
最近は学校でもスイミングスクールでも盗撮騒ぎが起きている。 男がだらしなくなっている。
そんなに見たかったらヌード雑誌を買えよ。 AVを見たっていいだろう。
風俗に行けば鱈腹拝めるんだし子供を泣かすことも無いだろう。 何で盗撮するんだよ?
だいたいなあ、仕事頑張ってます人間ほど危ないんだよ。 アピールして頑張るもんじゃないと俺は思う。
なになに? 高校生のくせに生意気なことを言うやつだって思ったでしょう? そこのお兄さん。
父さんを見てれば分かるよ。 父さんは黙って仕事をする人だ。
どんな天才でも父さんには適わないよ。 じっくり腰を据えてやられてみろ。
あんただって勝てる保証は無いんだからね。
そんなわけで一日ハッピーな思いをさせてもらったわけなんです。 知り合って2週間だっていうのに。
誰かみたいにさあ「目が合った瞬間にビビッと来たのよ。」って言うのかなあ? 言われたらドン引きしそうだけど。
あのおばちゃん 5回くらい結婚してるよね? あんなやつは嫌だなあ。
そんなことを考えてたら寝ちゃったわ。 お休み。



