「有った有った。 読みたかったのよ これ。」 そう言いながら俺の隣に座る。
気付かれないように椅子を動かしてみる。 そしたら足で椅子を引っ張ってきた。
「何すんだよ?」 「逃げないように押さえとこうと思って。」
「しょうもねえやつだなあ。」 そう言いながら脇を擽ってみる。
「ワーーー、セクハラだあ。 セクハラ男子がここに居るーーーーーー!」 「馬鹿、大声出すなよ。」
「だって弘明君がエッチなんだもん。」 「脇を擽ったくらいで騒ぐなっての。」
「だってだってだって。 私の気持ちを分かってくれない弘明君が悪いのよーーーー。」 「香澄 やり過ぎ。」
「えーーーー? 律子までーーーーーー。」 「ほらほら暴れるなよ。 こけるぞ。」
「え? うわ!」 振り向いた表紙に香澄は見事に椅子ごとこけやがった。
「まったくしょうがねえお嬢様なんだから、、、。」 立ち上がるのを手伝いながら文句を言う俺なのです。
「弘明君が悪いんだからね。 おごってよね。」 「何でおごるんだよ?」
「私を怒らせた罰よ。」 「じゃあセーラームーンにお願いしたら?」
「月に代わってお仕置きよ!ってあのねえ、、、。」 「似合ってるぞ。 香澄。」
「こんな所で褒めなくていいから。」 「じゃあ何処で褒めるんだよ?」
「私と弘明君のスイートルームで。」 「勝手に夢見てろ。 付いていけねえわ。」
ちょうど昼休み終了のチャイムが鳴った。 俺は珍しくモップを持ってみた。 「ほらほら掃除だぞ。」
「ワーーー、彼女を追い出す気だあ。」 「文句は後で聞くからさっさと戻れ。」
図書館を飛び出した香澄と入れ違いに美和が入ってきた。 「弘明君 掃除してたの?」
「そうっす。 先生が来ないうちに床を拭いちまおうと思って。」 「だからさあ先生はやめてよ。」
「いいじゃん。 先生なんだから。」 「もう、、、。 意地悪。」
美和は不貞腐れながら雑巾を持った。 そして俺の後を付けるようにテーブルを拭いている。
俺は不意に立ち止まって振り向いてみた。 そこに歩いている美和が飛び込んできた。
「びっくりさせないでよ。 弘明君。」 「ごめんごめん。 気付くかなと思って。」
「試したのね? 意地悪なんだから。 授業で仕返ししてやるわ。」 睨んでくる美和もどっか可愛くて、、、。
さあさあ5時間目はその数学ですよ。 美和が教科書を持って教室に入ってきた。
「進学組の皆さんは自習時間にします。 分からないことは聞いてください。」 そう言うと美和は俺を見詰めた。
「こちらのグループは問題を作ってきたのでそれを解いてもらいます。 終わったら弘明君に答え合わせをしてもらいましょう。」 「何で俺なんだよ?」
文句を言う俺をすごい目で睨みつけてくるから何も言えなくなっちまった。
30分ほどしてみんなの回答が出揃った。 「では弘明君 お願いしますね。」
とはいうものの、ここ2年間 数学とまともに向き合ってこなかった俺だからドキドキバクバク、、、。 何とか終わった時には疲れちまってさあ、、、。
「高橋先生にやり込められたなあ。 なあ弘明。」 「うっせえ。 黙ってろ。」
何だか不機嫌になっている俺を見て香澄たちもクスクス笑っている。 趣味悪いやつらだよなあ。
そんでもって今日も授業が終わって放課後、、、。 いつものように昇降口に出てくると、、、。
「あの、先輩。」 そう呼ぶ声がする。
(誰だろう?)と思ったら1年生の影山優紀だ。 「何か?」
「私、放送部に入りたいんですけど誰に言えばいいんですか?」 「今頃、そんなこと聞くなよ。」
とは言ったものの、後ろを見たら律子が居たもんだから「それだったら俺より律子に聞いたほうがいいよ。」って言っておいた。
指を差された律子はというと「じゃあ今から包装室に行こう。 やってるはずだから。」って言って優紀を連れて行った。
「よしよし。 今のうちに出てやれ。」 そう思って昇降口を出ると、、、。
「おー、元気いいなあ。 遊びにでも行くのか?」って久保山先生が寄ってきた。 (よりによって久保山かよ、、、。)
「いやあ帰りに何しようかって、、、。」 「寄り道もいいけどちゃんと帰るんだぞ。」
「はーーーーい。」 「あらあら、弘明君 待っててくれたの?」
「ゲ、何でお前を待つんだよ?」 「ひどいなあ。 いっつも私が誘ってやってるのに。」
「何に誘ったって?」 「デートなんて誘っても来てくれないけど、、、ねえ。」
「いいじゃん。 吉田でも誘ったらどうだ?」 「あんな毛虫みたいなやつ 大嫌いなの。」
「あいつが毛虫ならお前は蜘蛛だな。」 「何でよーーーーー。 蜘蛛なんか生き物じゃないわよ。」
「じゃあお前は何なんだよ?」 「私は人間ですわ。」
「へえ、お前が人間ねえ?」 「こらこら、女子を虐めるやつが有るか。 考えろ。」
「ほら怒られた。」 「いいんだもーん。 香澄なんかよりずーーーーーっといいんだもーーーん。」
「意味不明男子。」 「どっちもな。」
こうして俺たちはまた駅へ歩き始めるわけ。 4月もまだまだ上旬。
暑くもなく暖かくもなく肌寒い中で俺たちは元気に歩いているわけっす。 車道は今日も賑やかだなあ。
駅へ向かう途中にはラーメン屋とか銀行とか保育園とか歯医者とかタクシー会社の車庫なんかが有る。 いつもいつもどっか賑やかなんだよな。
高校を通り過ぎると橋が有る。 吉田橋って名前が付いている橋。
川は一応流れてはいるけど昭和の頃よりはずいぶんと細くなったらしい。
寮組は居残りとかで勉強中。 やつらの青春は終わった。
お前はどうなんだって? この辺じゃあ羽目を外せるような場所も無いからなあ。
今日も定刻に駅に着いて定刻に来た電車に乗って敷かれたレールの上を走るだけ。 面白くも何ともないわ。
それに比べれば香澄と律子はどっから仕入れてくるのか知らないが朝から晩までお喋りは留まらない。 「喋るのをやめたら人間じゃなくなるわ。」だって。
駅に着いてもなおホームを挟んで大声で喋ってらっしゃる。 飽きないもんだなあ。
電車が来ると窓の外をぼんやりと眺めている。 香澄は隣でメールに夢中。
(メールか、、、。) どこか冷めた目で香澄を見ている俺、、、。
無口になってメールを続ける香澄、、、。 横から見てると意外と可愛いんだなあ こいつ。
「何見てるのよ? 変態。」 いきなり振り向いた香澄がボソッと言う。
美和が現れて以来、こいつと蔓むことは少なくなったなあ。 いいのか悪いのか、、、?
小学生の頃はあんだけ走り回ってたのになあ。 今や俺が追い掛けられる程度だ。
あいつは短大に行くって言ってたな。 保母さんになりたいとか、、、。
まあさあ昔からリカちゃんを抱っこしてお世話ごっこしてたやつなんだもん。 そのまま大人になっちまうんだなあ。
お前はどう何だって? 未だにどっちにするか決めかねてるんだ。
進学するほど頭がいいわけでもないし働くほど困ってるわけでもない。 どっちつかずッてことだな。
それでも秋には結論を出さなきゃいけないんだよな。 悩ましい所だぜ。
就職組はと言えば進路指導部の先生たちと睨めっこしてるやつも居る。 商売をするのか体を動かすのかってね。
そんなことを考えてたら駅に着いちまった。 乗り過ごさなくて良かったよ。
いつも通りに何の変哲も無い通りを歩いて行く。 役所の車が通り過ぎていった。
と交差点のほうからドカーンっていう大きな音が聞こえてきた。 「何だ?」
「大丈夫か!」 「おい大変だ!」 慌ただしい声が聞こえる。
行ってみると角の電柱に軽自動車が突っ込んでいるのが見えた。 何だかすごい形に変形しているみたい。
数分経った頃、救急車とパトカーがサイレンを鳴らしながらやってきた。 商店街まで大騒ぎになっている。
そこへテレビ局のカメラまで飛んできた。 (しかしまあすごい騒ぎだな。)
電柱の陰から見ていると電話が掛かってきた。 「弘明? 何処に居るんだ?」
「今、商店街だよ。 事故で大騒ぎしてる。」 「お前は大丈夫か?」
「俺は大丈夫だよ。」 「ならいいけど何も無いうちに帰っておいで。」
「分かった。 分かった。」 母ちゃんも近くの事務所で働いてるからなあ。
現場を離れて歩いているとまたまた電話が掛かってきた。 知らない番号だ。
(誰だろう?) 不思議に思いながら出てみる。
「弘明君?」 その声は美和だった。
「先生、、、。」 「大丈夫? ニュースで見たけど、、、。」
「ニュース?」 「そうよ。 SRVの地方ニュース。」
「ニュースがどうかしたんですか?」 「事故現場でしょう? 弘明君も映ってるから驚いちゃって。」
「大丈夫大丈夫。 おれがじこったわけじゃないから。」 「ならいいけど、、、。」
心配そうな声で電話は切れた。 そしたらまた着信音が鳴った。
(今度は何?) 見るとショートメールだ。
[弘明君 何か有ったらこのアドレスにメールしてね。 美和]
(あんちきしょう、やりやがった。) 思わず笑いそうになった俺は笑いを堪えて家に入った。
「どうしたんだよ? ニヤニヤしちゃって。」 姉ちゃんも怪訝な顔で俺を見詰めている。
「何でもない何でもない。」 そのまま二階へ駆け上がる。
部屋で着替えると床に寝転がって天井を仰ぐ。 何だか落ち着かない。
プロポーズされたわけでもないのになぜかドキドキしている。 変だなあ。
気付かれないように椅子を動かしてみる。 そしたら足で椅子を引っ張ってきた。
「何すんだよ?」 「逃げないように押さえとこうと思って。」
「しょうもねえやつだなあ。」 そう言いながら脇を擽ってみる。
「ワーーー、セクハラだあ。 セクハラ男子がここに居るーーーーーー!」 「馬鹿、大声出すなよ。」
「だって弘明君がエッチなんだもん。」 「脇を擽ったくらいで騒ぐなっての。」
「だってだってだって。 私の気持ちを分かってくれない弘明君が悪いのよーーーー。」 「香澄 やり過ぎ。」
「えーーーー? 律子までーーーーーー。」 「ほらほら暴れるなよ。 こけるぞ。」
「え? うわ!」 振り向いた表紙に香澄は見事に椅子ごとこけやがった。
「まったくしょうがねえお嬢様なんだから、、、。」 立ち上がるのを手伝いながら文句を言う俺なのです。
「弘明君が悪いんだからね。 おごってよね。」 「何でおごるんだよ?」
「私を怒らせた罰よ。」 「じゃあセーラームーンにお願いしたら?」
「月に代わってお仕置きよ!ってあのねえ、、、。」 「似合ってるぞ。 香澄。」
「こんな所で褒めなくていいから。」 「じゃあ何処で褒めるんだよ?」
「私と弘明君のスイートルームで。」 「勝手に夢見てろ。 付いていけねえわ。」
ちょうど昼休み終了のチャイムが鳴った。 俺は珍しくモップを持ってみた。 「ほらほら掃除だぞ。」
「ワーーー、彼女を追い出す気だあ。」 「文句は後で聞くからさっさと戻れ。」
図書館を飛び出した香澄と入れ違いに美和が入ってきた。 「弘明君 掃除してたの?」
「そうっす。 先生が来ないうちに床を拭いちまおうと思って。」 「だからさあ先生はやめてよ。」
「いいじゃん。 先生なんだから。」 「もう、、、。 意地悪。」
美和は不貞腐れながら雑巾を持った。 そして俺の後を付けるようにテーブルを拭いている。
俺は不意に立ち止まって振り向いてみた。 そこに歩いている美和が飛び込んできた。
「びっくりさせないでよ。 弘明君。」 「ごめんごめん。 気付くかなと思って。」
「試したのね? 意地悪なんだから。 授業で仕返ししてやるわ。」 睨んでくる美和もどっか可愛くて、、、。
さあさあ5時間目はその数学ですよ。 美和が教科書を持って教室に入ってきた。
「進学組の皆さんは自習時間にします。 分からないことは聞いてください。」 そう言うと美和は俺を見詰めた。
「こちらのグループは問題を作ってきたのでそれを解いてもらいます。 終わったら弘明君に答え合わせをしてもらいましょう。」 「何で俺なんだよ?」
文句を言う俺をすごい目で睨みつけてくるから何も言えなくなっちまった。
30分ほどしてみんなの回答が出揃った。 「では弘明君 お願いしますね。」
とはいうものの、ここ2年間 数学とまともに向き合ってこなかった俺だからドキドキバクバク、、、。 何とか終わった時には疲れちまってさあ、、、。
「高橋先生にやり込められたなあ。 なあ弘明。」 「うっせえ。 黙ってろ。」
何だか不機嫌になっている俺を見て香澄たちもクスクス笑っている。 趣味悪いやつらだよなあ。
そんでもって今日も授業が終わって放課後、、、。 いつものように昇降口に出てくると、、、。
「あの、先輩。」 そう呼ぶ声がする。
(誰だろう?)と思ったら1年生の影山優紀だ。 「何か?」
「私、放送部に入りたいんですけど誰に言えばいいんですか?」 「今頃、そんなこと聞くなよ。」
とは言ったものの、後ろを見たら律子が居たもんだから「それだったら俺より律子に聞いたほうがいいよ。」って言っておいた。
指を差された律子はというと「じゃあ今から包装室に行こう。 やってるはずだから。」って言って優紀を連れて行った。
「よしよし。 今のうちに出てやれ。」 そう思って昇降口を出ると、、、。
「おー、元気いいなあ。 遊びにでも行くのか?」って久保山先生が寄ってきた。 (よりによって久保山かよ、、、。)
「いやあ帰りに何しようかって、、、。」 「寄り道もいいけどちゃんと帰るんだぞ。」
「はーーーーい。」 「あらあら、弘明君 待っててくれたの?」
「ゲ、何でお前を待つんだよ?」 「ひどいなあ。 いっつも私が誘ってやってるのに。」
「何に誘ったって?」 「デートなんて誘っても来てくれないけど、、、ねえ。」
「いいじゃん。 吉田でも誘ったらどうだ?」 「あんな毛虫みたいなやつ 大嫌いなの。」
「あいつが毛虫ならお前は蜘蛛だな。」 「何でよーーーーー。 蜘蛛なんか生き物じゃないわよ。」
「じゃあお前は何なんだよ?」 「私は人間ですわ。」
「へえ、お前が人間ねえ?」 「こらこら、女子を虐めるやつが有るか。 考えろ。」
「ほら怒られた。」 「いいんだもーん。 香澄なんかよりずーーーーーっといいんだもーーーん。」
「意味不明男子。」 「どっちもな。」
こうして俺たちはまた駅へ歩き始めるわけ。 4月もまだまだ上旬。
暑くもなく暖かくもなく肌寒い中で俺たちは元気に歩いているわけっす。 車道は今日も賑やかだなあ。
駅へ向かう途中にはラーメン屋とか銀行とか保育園とか歯医者とかタクシー会社の車庫なんかが有る。 いつもいつもどっか賑やかなんだよな。
高校を通り過ぎると橋が有る。 吉田橋って名前が付いている橋。
川は一応流れてはいるけど昭和の頃よりはずいぶんと細くなったらしい。
寮組は居残りとかで勉強中。 やつらの青春は終わった。
お前はどうなんだって? この辺じゃあ羽目を外せるような場所も無いからなあ。
今日も定刻に駅に着いて定刻に来た電車に乗って敷かれたレールの上を走るだけ。 面白くも何ともないわ。
それに比べれば香澄と律子はどっから仕入れてくるのか知らないが朝から晩までお喋りは留まらない。 「喋るのをやめたら人間じゃなくなるわ。」だって。
駅に着いてもなおホームを挟んで大声で喋ってらっしゃる。 飽きないもんだなあ。
電車が来ると窓の外をぼんやりと眺めている。 香澄は隣でメールに夢中。
(メールか、、、。) どこか冷めた目で香澄を見ている俺、、、。
無口になってメールを続ける香澄、、、。 横から見てると意外と可愛いんだなあ こいつ。
「何見てるのよ? 変態。」 いきなり振り向いた香澄がボソッと言う。
美和が現れて以来、こいつと蔓むことは少なくなったなあ。 いいのか悪いのか、、、?
小学生の頃はあんだけ走り回ってたのになあ。 今や俺が追い掛けられる程度だ。
あいつは短大に行くって言ってたな。 保母さんになりたいとか、、、。
まあさあ昔からリカちゃんを抱っこしてお世話ごっこしてたやつなんだもん。 そのまま大人になっちまうんだなあ。
お前はどう何だって? 未だにどっちにするか決めかねてるんだ。
進学するほど頭がいいわけでもないし働くほど困ってるわけでもない。 どっちつかずッてことだな。
それでも秋には結論を出さなきゃいけないんだよな。 悩ましい所だぜ。
就職組はと言えば進路指導部の先生たちと睨めっこしてるやつも居る。 商売をするのか体を動かすのかってね。
そんなことを考えてたら駅に着いちまった。 乗り過ごさなくて良かったよ。
いつも通りに何の変哲も無い通りを歩いて行く。 役所の車が通り過ぎていった。
と交差点のほうからドカーンっていう大きな音が聞こえてきた。 「何だ?」
「大丈夫か!」 「おい大変だ!」 慌ただしい声が聞こえる。
行ってみると角の電柱に軽自動車が突っ込んでいるのが見えた。 何だかすごい形に変形しているみたい。
数分経った頃、救急車とパトカーがサイレンを鳴らしながらやってきた。 商店街まで大騒ぎになっている。
そこへテレビ局のカメラまで飛んできた。 (しかしまあすごい騒ぎだな。)
電柱の陰から見ていると電話が掛かってきた。 「弘明? 何処に居るんだ?」
「今、商店街だよ。 事故で大騒ぎしてる。」 「お前は大丈夫か?」
「俺は大丈夫だよ。」 「ならいいけど何も無いうちに帰っておいで。」
「分かった。 分かった。」 母ちゃんも近くの事務所で働いてるからなあ。
現場を離れて歩いているとまたまた電話が掛かってきた。 知らない番号だ。
(誰だろう?) 不思議に思いながら出てみる。
「弘明君?」 その声は美和だった。
「先生、、、。」 「大丈夫? ニュースで見たけど、、、。」
「ニュース?」 「そうよ。 SRVの地方ニュース。」
「ニュースがどうかしたんですか?」 「事故現場でしょう? 弘明君も映ってるから驚いちゃって。」
「大丈夫大丈夫。 おれがじこったわけじゃないから。」 「ならいいけど、、、。」
心配そうな声で電話は切れた。 そしたらまた着信音が鳴った。
(今度は何?) 見るとショートメールだ。
[弘明君 何か有ったらこのアドレスにメールしてね。 美和]
(あんちきしょう、やりやがった。) 思わず笑いそうになった俺は笑いを堪えて家に入った。
「どうしたんだよ? ニヤニヤしちゃって。」 姉ちゃんも怪訝な顔で俺を見詰めている。
「何でもない何でもない。」 そのまま二階へ駆け上がる。
部屋で着替えると床に寝転がって天井を仰ぐ。 何だか落ち着かない。
プロポーズされたわけでもないのになぜかドキドキしている。 変だなあ。



