いつものように駅まで来ていつものようにホームで電車を待つ。 香澄もこれまたいつものようにスマホで話をしている。
[こいつら話が尽きねえんだなあ。] ぼんやり見ていると駅員が走ってきた。 [何だろう?」
「すいませーーーん。 手前の駅で人身事故が有りまして上下線とも運休になりました。」 「えーーーーーーーーーー?」
「付きましては運行再開がいつになるか分からないのでバスをご利用下さーーーい。」 駅員の焦っている顔が見える。
律子も香澄も困惑しきった顔で話し合っている。 「ここでどうする?」
「本屋にでも行こうか。 しばらく時間を潰せば、、、。」 「弘明君は? あれあれ、居ないや。」
「あんなのはほっといて行きましょう。」 二人は話しながら本屋へ行った。
俺はというとそんなに金も無いしここからバスなんて言われてもよく分かってないから取り敢えず駅を出て学校周辺で時間を潰すことにしたんだ。
そんなわけで学校にまで戻ってきた俺は昇降口を入ると下駄箱にもたれて本を読み始めた。 「何をしてるんだ?」
不意に声が聞こえた。 久保山先生だ。
「電車が事故っちゃって運休してるんですよ。」 「それは大変だなあ。 他のやつはどうしてるんだ?」
「香澄たちは本屋で時間を潰すって言ってました。」 「そっか。 それならしょうがない。 動くまで教室にでも居たらどうだ?」
「いいんすか?」 「緊急事態なんだ。 しょうがないよ。」
「すんません。」 そんなわけで俺は教室に戻ってきた。
ドアを開けてみると寮組の数人が居残って勉強中らしい。 何をしてるのかと思ったら前に美和が居た。
「あらあら、どうしたの?」 「電車が事故で止まっちゃったもんだから、、、。」
「そう。 じゃあ本でも読んでる?」 「そうします。」
美和は俺に笑顔を見せてから教科書に戻っていった。
本を読みながらチラッチラッと美和を見てみる。 (胸 でけえなあ。)
横をスッと美和が抜けると腰の辺りを見て赤くなっている。 (下着 透けてないか?)
そういえば紺色のスカートに白い下着じゃあ透けるよなあ。 堪んねえな、こいつ。
本を読みながら視線を美和に走らせている。 この時間、思ったより天国だったかも?
やがて5時を過ぎて勉強会も終わったらしい。 「じゃあ、俺も帰るかな。」
教室を出ようとした俺に美和が声を掛けてきた。 「方向が同じだから送るわよ。」
「え? 先生、車持ってるの?」 「うん。 玄関に着けるから待ってて。」
何か知らねえが今日はあっちでこっちで美和に会う日だ。 ついでに車で送ってもらえるなんて、、、。
(これは絶対に秘密にしないとやつらがうるせえな。) そんなことを考えながら昇降口へ行く。
靴を履き替えて玄関を出るとフェアレディーが走ってきた。 「かっけーーーー! くそかっけーーーーー!」
運転しているのは、なななななんと美和ではないかいな。 (あいつ、フェアレディーに乗ってたのか。 しかも赤いやつだぜ。 めっちゃかっけーーーーやん。)
車を止めるとドアを開けて美和が降りてきた。 「乗っていいわよ。」
「ありがとうございます。」 ゴン! 「いてえ!」
お辞儀したらルーフで頭を打っちまった。 「弘明君 落ち着いてよ。」
美和も笑いを堪えている。 二階に目をやると職員室から久保山先生がニヤニヤしながら見降ろしているのが見えた。
「さあ行くわよ。」 初めてだな、車で送ってもらうなんて、、、。
しかもさあ美和だぜ。 香澄たちにはぜーーーーーーーーったいに内緒だな。
でもさ、ハンドルを握っている美和ってなんかかっこいいよな。 改めて惚れちまいそうだぜ。
「弘明君さあ、私の何処を見てたの?」 いきなり詰問してきた。
「何処って言われても、、、。」 「いつだったか、お尻見てたわよね?」
(何で気付いてるんだよ?) 「まあ、いいけどさ、それよりも何よりも勉強に集中してほしいなあ。」
「しゅいません。」 「分からないことが有ったら個人授業でも何でもやるから言ってね。」
あの美和スマイルでそう言ってくるんだ。 ぶっ飛びそうだぜ。
ちょうど駅前通りからラッシュアワーが始まっていて車はズラリと並んでいる。 「ここ、いつもこうなんだよねえ。 なかなか進まないの。」
今日は事故の影響も有ってかタクシーがやたらと走っている。 人身事故だって言ってたよな。
ラジオを点けるとニュースをやっていた。 「今日、午後3時40分ごろ、翌檜東駅で45歳の男性が入ってきた急行電車に跳ねられて死亡しました。」
「それで電車が止まっちゃったのね?」 「そうみたいです。」
「何か有ったのかなあ?」 「何が?」
「飛び込み自殺するってことはさあ、それだけ何かに悩んでたってことよね?」 「そうなんでしょうね。」
渋滞の中で俺たちはポツリポツリと会話する。 なんか香水の匂いに癒されている自分が居る。
スマホが鳴った。 「弘明、今何をしてるんだ?」
出てみたら母ちゃんだ。 「電車が止まったから美和さんに送ってもらってるとこだよ。」
「あらあら、美和ちゃんと一緒に居るのかい? でも変なことをするんじゃないよ。」 「分かってるって。」
「じゃあまだ時間は掛かりそうだね?」 「渋滞でなかなか動かないんだよ。」
「分かった。 美和ちゃんの分も夕食を用意してるから言っといてね。」 電話は切れた。
「先生の分も作ってるから食べて行けって。」 「申し訳ないなあ。 そんなことまで。」
「いいんじゃないんすか? 昔から知ってるんでしょう?」 「それはそうだけど、、、。」
やっと車は電車区の前を通り過ぎたようだ。 まだまだだなあ。
「ここから脇道に入ろう。 表通りは混んでるわ。」 美和は脇道に入るとアクセルを踏み込んだ。
「シートベルト締めておいてね。 この辺りは警察が居るから。」 「は、はい。」
「緊張してるの?」 「だって、先生の隣だから。」
「学校を出たんだから先生って呼ばないで。 美和ちゃんって呼んでもいいのよ。」 「でもそれは、、、。」
「青いのねえ。 心配しないで。 何とも思わないから。」 「それじゃあ、、、。」
とは言ったものの、緊張しまくりで美和ちゃんなんて簡単には呼べないよ。 まだまだ出会ったばかりなんだから。
あれこれ考えていたら美和がコンビニの前で車を止めた。 (降りろなんて言ってこないよな?)
半信半疑で見ていると美和はコンビニで缶コーヒーを2本買ってきた。 「喉乾いたでしょう?」
「あ、はい。」 「緊張しなくてもいいのよ。 いつも通りで。」
「で、でも、、、。」 「二人きりだから緊張してるんでしょう?」
「そ、そ、そ、そうなんです。」 「素直でいいわ。」
コーヒーを飲みながら美和はヘッドライトを点灯した。 やっぱりこいつはかっけーーーー。
「さあ、行くかな。」 改めてエンジンを起動してアクセルを吹かす。 飛ばしてるなあ。
「この辺りはね、よく走ってたの。 けっこう飛ばせるのよ ここ。」 (それでもなんか危なそう。)
ヘアピンが有る。 そこを過ぎると上り坂。 対向車は疎らで道はけっこう広い。
(こんな道は知らなかったなあ。) 事故のおかげでドライブさせてもらってる俺は何だか美和を虜にしたような気分だった。
40分ほどで家に着いた俺は玄関を入ると食堂に飛び込んだ。 「おやおや帰ったか。 美和ちゃんは?」
「今来るよ。」 そこへ美和が入ってきた。
「おやおや、二人でドライブしたんだって?」 「電車が止まってるって言うから送るよって言ったんですよ。」
「そうかいそうかい。 弘明、美和ちゃんに足を向けて寝れないぞ。」 「そんな大げさな、、、。」
「大げさも何も有るか。 こんな若い彼女を捕まえたんだからね あんた。」 「彼女なんてそんな、、、。」
そこへ父さんが入ってきた。 「弘明はいいなあ。 美和ちゃんの車に乗せてもらったんだって? 俺だってまだ乗ったことは無いのに。」
「あなたは私にしか乗らないでしょう?」 「またまた、、、。」
いつ見てもいつ聞いても賑やかな家族だ。 その中で俺と美和は互いに顔を見合わせてクスクス笑っている。
「お似合いじゃないか。 なあ、弘明。」 「それはまだ早いよ。」
「いいんだぞ。 昔は15で大人の仲間入りをしたもんだ。 お前は18になるだろう? 立派な大人じゃないか。」
「体だけはね。」 「いいんだ。 体が大事なんだから。」
そう言いながら日本酒を飲む父さんはどっか幸せそうだ。 何を考えてるんだろうなあ?
[こいつら話が尽きねえんだなあ。] ぼんやり見ていると駅員が走ってきた。 [何だろう?」
「すいませーーーん。 手前の駅で人身事故が有りまして上下線とも運休になりました。」 「えーーーーーーーーーー?」
「付きましては運行再開がいつになるか分からないのでバスをご利用下さーーーい。」 駅員の焦っている顔が見える。
律子も香澄も困惑しきった顔で話し合っている。 「ここでどうする?」
「本屋にでも行こうか。 しばらく時間を潰せば、、、。」 「弘明君は? あれあれ、居ないや。」
「あんなのはほっといて行きましょう。」 二人は話しながら本屋へ行った。
俺はというとそんなに金も無いしここからバスなんて言われてもよく分かってないから取り敢えず駅を出て学校周辺で時間を潰すことにしたんだ。
そんなわけで学校にまで戻ってきた俺は昇降口を入ると下駄箱にもたれて本を読み始めた。 「何をしてるんだ?」
不意に声が聞こえた。 久保山先生だ。
「電車が事故っちゃって運休してるんですよ。」 「それは大変だなあ。 他のやつはどうしてるんだ?」
「香澄たちは本屋で時間を潰すって言ってました。」 「そっか。 それならしょうがない。 動くまで教室にでも居たらどうだ?」
「いいんすか?」 「緊急事態なんだ。 しょうがないよ。」
「すんません。」 そんなわけで俺は教室に戻ってきた。
ドアを開けてみると寮組の数人が居残って勉強中らしい。 何をしてるのかと思ったら前に美和が居た。
「あらあら、どうしたの?」 「電車が事故で止まっちゃったもんだから、、、。」
「そう。 じゃあ本でも読んでる?」 「そうします。」
美和は俺に笑顔を見せてから教科書に戻っていった。
本を読みながらチラッチラッと美和を見てみる。 (胸 でけえなあ。)
横をスッと美和が抜けると腰の辺りを見て赤くなっている。 (下着 透けてないか?)
そういえば紺色のスカートに白い下着じゃあ透けるよなあ。 堪んねえな、こいつ。
本を読みながら視線を美和に走らせている。 この時間、思ったより天国だったかも?
やがて5時を過ぎて勉強会も終わったらしい。 「じゃあ、俺も帰るかな。」
教室を出ようとした俺に美和が声を掛けてきた。 「方向が同じだから送るわよ。」
「え? 先生、車持ってるの?」 「うん。 玄関に着けるから待ってて。」
何か知らねえが今日はあっちでこっちで美和に会う日だ。 ついでに車で送ってもらえるなんて、、、。
(これは絶対に秘密にしないとやつらがうるせえな。) そんなことを考えながら昇降口へ行く。
靴を履き替えて玄関を出るとフェアレディーが走ってきた。 「かっけーーーー! くそかっけーーーーー!」
運転しているのは、なななななんと美和ではないかいな。 (あいつ、フェアレディーに乗ってたのか。 しかも赤いやつだぜ。 めっちゃかっけーーーーやん。)
車を止めるとドアを開けて美和が降りてきた。 「乗っていいわよ。」
「ありがとうございます。」 ゴン! 「いてえ!」
お辞儀したらルーフで頭を打っちまった。 「弘明君 落ち着いてよ。」
美和も笑いを堪えている。 二階に目をやると職員室から久保山先生がニヤニヤしながら見降ろしているのが見えた。
「さあ行くわよ。」 初めてだな、車で送ってもらうなんて、、、。
しかもさあ美和だぜ。 香澄たちにはぜーーーーーーーーったいに内緒だな。
でもさ、ハンドルを握っている美和ってなんかかっこいいよな。 改めて惚れちまいそうだぜ。
「弘明君さあ、私の何処を見てたの?」 いきなり詰問してきた。
「何処って言われても、、、。」 「いつだったか、お尻見てたわよね?」
(何で気付いてるんだよ?) 「まあ、いいけどさ、それよりも何よりも勉強に集中してほしいなあ。」
「しゅいません。」 「分からないことが有ったら個人授業でも何でもやるから言ってね。」
あの美和スマイルでそう言ってくるんだ。 ぶっ飛びそうだぜ。
ちょうど駅前通りからラッシュアワーが始まっていて車はズラリと並んでいる。 「ここ、いつもこうなんだよねえ。 なかなか進まないの。」
今日は事故の影響も有ってかタクシーがやたらと走っている。 人身事故だって言ってたよな。
ラジオを点けるとニュースをやっていた。 「今日、午後3時40分ごろ、翌檜東駅で45歳の男性が入ってきた急行電車に跳ねられて死亡しました。」
「それで電車が止まっちゃったのね?」 「そうみたいです。」
「何か有ったのかなあ?」 「何が?」
「飛び込み自殺するってことはさあ、それだけ何かに悩んでたってことよね?」 「そうなんでしょうね。」
渋滞の中で俺たちはポツリポツリと会話する。 なんか香水の匂いに癒されている自分が居る。
スマホが鳴った。 「弘明、今何をしてるんだ?」
出てみたら母ちゃんだ。 「電車が止まったから美和さんに送ってもらってるとこだよ。」
「あらあら、美和ちゃんと一緒に居るのかい? でも変なことをするんじゃないよ。」 「分かってるって。」
「じゃあまだ時間は掛かりそうだね?」 「渋滞でなかなか動かないんだよ。」
「分かった。 美和ちゃんの分も夕食を用意してるから言っといてね。」 電話は切れた。
「先生の分も作ってるから食べて行けって。」 「申し訳ないなあ。 そんなことまで。」
「いいんじゃないんすか? 昔から知ってるんでしょう?」 「それはそうだけど、、、。」
やっと車は電車区の前を通り過ぎたようだ。 まだまだだなあ。
「ここから脇道に入ろう。 表通りは混んでるわ。」 美和は脇道に入るとアクセルを踏み込んだ。
「シートベルト締めておいてね。 この辺りは警察が居るから。」 「は、はい。」
「緊張してるの?」 「だって、先生の隣だから。」
「学校を出たんだから先生って呼ばないで。 美和ちゃんって呼んでもいいのよ。」 「でもそれは、、、。」
「青いのねえ。 心配しないで。 何とも思わないから。」 「それじゃあ、、、。」
とは言ったものの、緊張しまくりで美和ちゃんなんて簡単には呼べないよ。 まだまだ出会ったばかりなんだから。
あれこれ考えていたら美和がコンビニの前で車を止めた。 (降りろなんて言ってこないよな?)
半信半疑で見ていると美和はコンビニで缶コーヒーを2本買ってきた。 「喉乾いたでしょう?」
「あ、はい。」 「緊張しなくてもいいのよ。 いつも通りで。」
「で、でも、、、。」 「二人きりだから緊張してるんでしょう?」
「そ、そ、そ、そうなんです。」 「素直でいいわ。」
コーヒーを飲みながら美和はヘッドライトを点灯した。 やっぱりこいつはかっけーーーー。
「さあ、行くかな。」 改めてエンジンを起動してアクセルを吹かす。 飛ばしてるなあ。
「この辺りはね、よく走ってたの。 けっこう飛ばせるのよ ここ。」 (それでもなんか危なそう。)
ヘアピンが有る。 そこを過ぎると上り坂。 対向車は疎らで道はけっこう広い。
(こんな道は知らなかったなあ。) 事故のおかげでドライブさせてもらってる俺は何だか美和を虜にしたような気分だった。
40分ほどで家に着いた俺は玄関を入ると食堂に飛び込んだ。 「おやおや帰ったか。 美和ちゃんは?」
「今来るよ。」 そこへ美和が入ってきた。
「おやおや、二人でドライブしたんだって?」 「電車が止まってるって言うから送るよって言ったんですよ。」
「そうかいそうかい。 弘明、美和ちゃんに足を向けて寝れないぞ。」 「そんな大げさな、、、。」
「大げさも何も有るか。 こんな若い彼女を捕まえたんだからね あんた。」 「彼女なんてそんな、、、。」
そこへ父さんが入ってきた。 「弘明はいいなあ。 美和ちゃんの車に乗せてもらったんだって? 俺だってまだ乗ったことは無いのに。」
「あなたは私にしか乗らないでしょう?」 「またまた、、、。」
いつ見てもいつ聞いても賑やかな家族だ。 その中で俺と美和は互いに顔を見合わせてクスクス笑っている。
「お似合いじゃないか。 なあ、弘明。」 「それはまだ早いよ。」
「いいんだぞ。 昔は15で大人の仲間入りをしたもんだ。 お前は18になるだろう? 立派な大人じゃないか。」
「体だけはね。」 「いいんだ。 体が大事なんだから。」
そう言いながら日本酒を飲む父さんはどっか幸せそうだ。 何を考えてるんだろうなあ?



