「はっ!」
「おはよう」
目が覚めたら朝だった。
セルジュさまがいつの間にか目玉焼きを作ってくれていた。
昨日、冷蔵庫とコンロのことを聞かれたので答えただけなんだが。
新しい環境への適応力がハンパねぇーっ。
「おっおいしい……」
「それはよかった」
ずきゅーん、と私の胸を狙撃してくる。
その笑顔はやばい。
テレビでその笑顔を振りまいた日にゃ、卒倒する女性が多発すっぞ?
飯テロならぬ美男テロ。
朝ごはんを食べたあと、着替えてふたりでお出かけ。
向かった先は、田舎の街の救世主パオン。
電車やバスといった交通の便が不自由な田舎にはなくてはならない存在。
バスの中でもちょっとしたハプニングがあったのだが……。
「なにあれ、ハリウッドスター?」
「オーラが見える」
「うわぁ、あんなん見たら旦那が毛虫にしかみえなくなる」
ほらね。
騒然としてるよ。
でも無理もない。
こんな田舎街に、とつぜん黒船が襲来したようなものだもの。
袖と裾がめっちゃ足りてないけどファッションだと思われてるね。
これはあれだ。
イケメンとブサイクが同じ服を着た時の反応に似ている。
どんな服を着ようがイケメンが勝つ。



