小説の中の人を拾いました ─辺境領主のご落胤─


「あの……本当にセルジュさまですか?」


リビングでくつろいでもらっている間にお茶をだす。

セルジュさまはテレビの裏を見てコンコン叩いたりしている。


「そうだね、なぜオレの名前を?」

「えーと小説……伝記にそう書かれていましたので」

「オレが伝記に……じゃあここは未来の世界、なのか」

「それはわかりませんが、セルジュさまはどこまで覚えてますか?」

「カルシュタインで城に侵入した賊をつかまえたところまでは……」

やっぱり当たっている。

王都カルシュタイン。

王女をさらおうと敵国が送りこんだ賊をセルジュが捕まえるシーン。

最新話はそこで止まっている。

続きが気になり、他の投稿サイトにも載ってないか調べてみた。

でも、書いて読んで作家になろう……通称カクなろにしかなかった。

それにしても、ちっちゃな隕石で飛んできたのが気になる。

宇宙人もしくは異世界人? 

それとも過去か未来からのタイムスリップ?

はっ!?

もしかして、ストレスにやられて幻覚なのでは……。

最近、小説が書けてないからな。

その可能性はじゅうぶんにありうる。