それから3年。
私は5作品のベストセラーを世に送り出した。
そのうちの最初の年に書いたものが、この春映画が公開される。
夢の中でセルジュさまに言われた言葉は今でも私の心の支えになっている。
あれが私が生み出した幻影だとしても心の底から感謝しているし、大好きなあの人には幸せになってもらいたい。
「──ってうそ!」
ふと、例の小説投稿サイトをのぞいてみた。
すると、じつに4年ぶりに「辺境領主のご落胤」が更新されていた。
はやる気持ちを抑えて一文字ずつ、かみしめるように物語を追う。
セルジュさまは、隣国の賊を退治した後、国王から王女と結婚するようすすめられる。
しかし、彼は丁寧にそれを断り、街中に住む何の変哲もない女性と結婚した。
彼女は市井にあって、物書きをしていると物語の最後に書かれていた。
物書きをしている女性、か──
まさかね?
─ fin ─



