小説の中の人を拾いました ─辺境領主のご落胤─


そのあとも悪口がたくさん書かれていた。
しばらくして、中学の卒業アルバムの顔が出た。

友だちから連絡があった。
だけど心配をしているフリをしながらセルジュさまのことを聞かれる。

しんどいな。
男っぽい性格なのは、自分でもわかっている。
子どもの頃、男子を泣かせたのも1回や2回ではない。
私の人格を否定するのはかまわない。
でも、私が生み出した小説をけなすのはやめてほしい。
おばあちゃんとの思い出を形にしたものだから。

「遊びに行こうか?」

セルジュさま。
今はそんな冗談につきあう余裕はないのだけど?
いったいどうやって行くの。

一緒にいけばまたスクープされて炎上するだけ。

「だいじょうぶ」

怖がっている子どもを勇気づけるようなやさしい笑顔。

「オレに考えがある」