小説の中の人を拾いました ─辺境領主のご落胤─


家に帰って、カーテンを閉める。
自宅が特定されたら、突撃されるぞきっと。

それにしても数時間外出しただけでこれとは恐れ入った。

「この世界の文字を覚えるにはどうしたらいい?」

セルジュさまはなぜか日本語は話せるが、日本語や英語を読めない。
小学低学年の教材を本屋で買ってくればよかったか。

「とりあえず、これで雰囲気だけでも覚えたらどうですか?」

出先用に持っているタブレット型端末を渡す。
それで小説投稿サイトやSNSなどの開き方をおしえた。

あとは文字を自動読み上げする機能でなんと書いてあるかがわかる。
そうはいっても、ステップを踏んだ学習じゃないので無理がある。

しかし、セルジュさまはやはり凄かった。
たった数日でひらがなと数字、一部の漢字や英語を単語単位で覚えてしまった。