向日葵の園

「受け止められないかもしれないけど、日和はどうせもう戻らないんだから真実を教えてあげるね。きみももう十四歳だし成長しなきゃね」

「なんなんですか一体」

「日和はさ、ヒマワリちゃんのことが邪魔だったんだよ」

「邪魔?そんなわけないじゃないですか!」

「そう思いたいよね。でも本当のことだから」

「どういうことですか」

「日和が誰よりも責任感の強い子だってことはヒマワリちゃんも知ってるよね?ご両親に、世間に認められたくて人一倍努力してきた。一人の人間として認めてもらえるようにね。でもね、日和はいつも言っていたよ。″私は私で在る前に、「陽毬のお姉ちゃん」でしかないんだ″って。どれだけ評価されてもその先には″陽毬にとってのいいお手本になる″っていうことだけが付き纏っているって。きみは自覚がなかったかもしれないけど、日和からしたら親に甘やかされて、困ったらお姉ちゃんに助けてもらえて、そんなきみのことが邪魔だったのかもね」

「デタラメ言わないでください!お姉ちゃんはちゃんと凄かった!聡明で大人で、誰にでも親切で。親だって…どっちかって言えば評価されていたのはお姉ちゃんのほうです!私はお姉ちゃんのことがいつも羨ましかった。大学生になれば私だってお姉ちゃんみたいに立派になれるんだって…」

「ヒマワリちゃんも日和のことがコンプレックスだったんだろう?」

「え…」

「いつも姉と比べられて。どれだけ努力したって敵わなくて。無情だよねぇ。ほら、今はもう二人で言葉を交わし合うことはできないんだ。上部だけで生まれてしまった暗い感情の本音を、伝え合うことはもうできない。悲しいね」

「あなたがそうしたんでしょう!?」

「してあげたんだよ」

「何言って…」

「本当は愛しているはずの存在が苦しみ合うのは見てられないからね」

「なんで…それなら私はちゃんとお姉ちゃんと話がしたかった。確かに私はお姉ちゃんに嫉妬して、まったくコンプレックスが無かったとは言えない。でもお姉ちゃんを失いたいなんて誰も頼んでない!!!なんで…返して…お姉ちゃんを返してよっ!!!」