向日葵の園

神様お願いします。
どうか見つかりませんように。
ここにしばらく隠れていれば憂さんだって一旦は諦めてくれるはず。

時間が経てばお姉ちゃん達が心配して
憂さんに連絡をしてくるよね。

そうすれば憂さんだってすぐにみんなに手を出すわけにはいかないんだから
少しだけ猶予が生まれるはずなんだ。

その間に薬さえ手に入れることができれば…。

ううん。
いっそ、銃でもいい。

この別荘の実態が暴かれれば
憂さんを殺してしまったとしても立派な正当防衛が成り立つだろう。

方法はなんだっていい。

私がみんなをここから救い出すんだ…!

三回、目を瞑って深呼吸をした。

気持ちを落ち着かせてゆっくりと目を開ける。

長い長い通路に漏れていた光。
どの部屋にもなかった、ぽうっと浮かび上がる光のほうへと視線を向ける。

巨大なカプセル型の装置に仰向けになって、
中の液体によってぷかぷかと揺蕩う……人間……

「お…ね…………」

ガチャリ、と死刑宣告のように
鉄扉のドアノブが回される音が背後で鳴る。

ギギッと軋む、別荘に来た日に聞いた、
門の前の鉄扉と同じ音。

「ヒマワリちゃん、見ぃーつけたっ」

「ゃ………いやぁぁぁあああッ…!!!」