向日葵の園

「おーいっ!都くーん、綴ちゃーんっ!」

「つーづーりーっ!」

憂さんが言っていたように、川は確かに山に入ってすぐに見つかった。
なのにそこに綴と都の姿は無かった。

感じていた胸騒ぎが現実になっていくようで
胸がザワザワとバクバクで気持ち悪い。

「明るいし、この距離で迷うとは思えないけど…もしかしたら戻る筋を間違えたかな…。山はそういうことあるから。もう少し奥まで行ってみようか」

「はい…」

「都くーんっ!聞こえたら返事してー!」

「綴!つーづーりーっ!」

「…り…ひ…陽毬ぃーっ!」

「っ…!憂さんっ!今のっ!」

「うん、聞こえたよ!綴ちゃんの声だね」

「綴っ!どこぉーっ!」

「ひまぁー!下…下だよっ…」

「下…!?下って…」

ただでさえ周りには民家も何も無い、
唯一あの別荘が建っているだけの山奥。

土もやわらかくて、この山に人が出入りしている様子は無い。

足元には山肌が少し削れてしまっていて、
木の根っこや大きい石が剥き出しになっている、少し高い崖があるだけだ。

下って…まさか…。

憂さんがその崖を、膝を付いて覗き込んだ。
三メートルも無いくらいの高さだけど、
ここから飛び降りろと言われたら足がすくむ。