「もしもし?」

「ヒマワリちゃん?今どこに居るの。日和が心配してるよ」

お姉ちゃん、なんで自分で連絡してこないんだろう?

「ごめんなさい。向日葵畑の奥のほうまで歩いて来ちゃいました」

「…そう。迎えに行くから待ってて」

「大丈夫ですよ。すぐに戻ります」

「どれくらい歩いたか分かんないけど車で行ったほうがラクでしょ?」

それだけ言って、電話は切れた。

歩いていた時間は長く感じていたのに
憂さんは十分もしないうちに迎えに来てくれた。

真夏の徒歩がしんどいだけで、
いくらなんでも思っているよりは、そんなに規模は大きくないのかもしれない。

「すみません。わざわざ…畑の敷地を車で迎えに来てもらったのは初めてです」

「俺も初めて迎えに来たよ」

よく晴れた空みたいに、
憂さんはカラッと笑った。

「早かったですね。五分弱くらいですか?」

「そりゃあね。たぶんヒマワリちゃんが思ってるよりも広くないよ」

「私、どれくらい歩いてたんだろう?」

「二十分くらいじゃない?」

「そっかぁ」