向日葵の園

ここから三十メートルは離れているだろうか。

その先に向日葵がずーっと咲いているわけだから
一体どれだけの土地が私有地なのだろう。

ていうか、あんな立派な向日葵の園、
一体誰が管理しているのだろう。

憂さんの家族は面倒で誰もここにはやって来なかった。
だけどあんなにも広大な向日葵の園が
自然の力だけであんなにも美しく維持できるはずがない。
それこそ都市伝説だ。

…そうだ。
都市伝説は″所有者不明の別荘跡地″だけでは無い。

″通年、咲き誇る向日葵畑″。

別荘の所有者が明かされた今、
都市伝説はこの向日葵の園に関することだけだ。

別荘の清掃を憂さんがこっそりしに来ていたのなら
向日葵の管理も同時にできる。

でも都市伝説が本当なら、いくら研究者の卵である憂さんでも
そんな世紀の大発見みたいなこと、できるとは思えない。

そうだ。
都市伝説はまだ終わっていないのかもしれない。