100日後、キミのいない世界で生きていく

「…え?」

「前までは気づけなかったことに今は気づけたんだろ?相手を傷つけたとわかったんだろ?なら、もう同じ失敗をしなければいいだけだ。失敗しても何度もやり直せばいいんだ。そうやって俺たちみたいな子どもは大人になっていくんだよ」


きゃははと笑いながら、目の前を小学生くらいの男女二人組が手を繋いで走り過ぎていった。

夕焼けチャイムが鳴ったから、そこの橋を渡って帰っていくのだろう。


「…去年の冬に、そこの橋で陽菜乃が俺に言ったこと覚えてる?」

「え?」


去年の冬…。眞紘と一緒に帰った時ってことだよね?

私、何か言ったっけ…?


「その日、美波は委員会があったから俺と陽菜乃の二人で帰ったんだよ。その時に、陽菜乃は俺に“クリスマスは美波と二人で過ごしたいと思わないの?”って聞いてきた」

「…聞いた気がする」


なんとなくその頃、眞紘が美波を目で追っていることが多いことに気づいて、その視線に込められている熱が恋をしている人のものだったから気になって聞いてしまったのだ。


「その時の俺は、美波に惹かれていたけどもし振られて友達にすら戻れなくなったらどうしようって思いでずっと告白できなかった。そんな俺に陽菜乃は“大丈夫”の一点張り。最初は何の根拠があってそんなこと言えんだよって正直ムカついた。他人事だと思ってんだろうなって。だけど、全く違った。陽菜乃は“もしダメでもさ、何回でも何十回でも想いを伝えたらいいよ。失敗したって成功するまで続ければいいだけなんだから”って自信満々に言うんだ。思わず笑ったよ」