100日後、キミのいない世界で生きていく

「…あ!」


ふと、相手選手とぶつかった颯太が勢いよく転ぶ。

だけどすぐに立ち上がった颯太は「大丈夫だ」と周りに笑顔で答えていて、どこも怪我はなさそうだった。


「颯太、大好きな先輩たちの引退試合だからってずっと練習頑張ってたもんねぇ。勝って欲しいねー」


美波の隣で応援していた若菜の言葉に、自然と頷いていた。

颯太のバスケが好きなところとか誰よりも努力してうまくなろうとしているところとか、近くで見てきたからこそ私たちが一番わかっている。

応援することしかできないけど、勝ってほしいな…。


しかし私たちの願いは虚しく、前半戦では相手に十点差をつけられたまま終了し後半戦が開始した。


「颯太ー!頑張れー!」


美波が腕をぶんぶんと振り回して応援している。

颯太の表情はだんだんと険しいものとなってきていた。

時折右足を引きずっているような気がするけど…気のせいかな。


「あと五分…。もうダメなんじゃない?十点差なかなか縮まんないしー」