100日後、キミのいない世界で生きていく

「でも、私…」

「陽菜乃にはもっと陽菜乃を大切に幸せにしてくれる人がいるよぉ。莉久にだっていいところはあるけど、莉久に陽菜乃はもったいないと思う。陽菜乃にはもっと合ってる人と付き合ってほしい」


若菜に強く手を握られ、それ以上言葉が出てこなかった。

私は莉久の隣にいたいのだと、その一言が出てこなかった…。





「若菜はさ、昔から優しかったよね。誤解されやすい性格だったけど、それでも誰よりも友達思いだったと私は思うよ」


若菜の閉ざされた部屋の前に座り込んで、そっと語りかける。


若菜はあの日(・・・)から自分を責めて外に出なくなってしまった。もうかれこれ十年が経つ。

若菜のお母さんが言うには、食事は三食ちゃんと食べているし、毎日お風呂にも入って必要最低限の生活はしているけど、全く会話をしてくれなくなったと言っていた。

月に一度精神科に通っているらしいけど、あまり変化は見られないみたいだった。


「ねえ、若菜。あの時はあんなことが起きるなんて、誰も思っていなかったよね。だから仕方なかった…って言っても、そんなの納得できるわけないよね。でもさ、未来がわかっててもしも過去に戻れるなら…今は変えられるのかな。私、過去に戻ってこようと思うんだ。奇跡でもなんでもすがりついて、今を変えてこようと思う」


かちゃりと部屋の鍵が開く音がした。