100日後、キミのいない世界で生きていく

なのに、どうして涙が溢れて止まらないの…?

莉久が好きな気持ちは本当だし、莉久になら何をされてもいいって思うのに、止めどなく溢れる涙でもう莉久の顔さえ見えなかった。


「違うの、これは…っ」

「…もういいよ。俺が悪かった。本当にごめん」


莉久に優しく抱きしめられ、もっと涙が止まらなかった。


「…莉久は幼い頃にお母さんが出て行っちゃったから、愛情に飢えてるの?」


泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた莉久に、泣き腫らした目で気になっていたことを尋ねる。


「…若菜だな、そんなこと言ったのは。まあそんなのただの言い訳にしかならないけど、そうなのかもなー」


壁に背中をつけて座った莉久が優しく私の腕を引くと足の間に座らせてきた。

私のおなかに腕を回し、背中に頭を乗せてきた莉久がゆっくりと言葉を選ぶように続ける。


「…四歳の時に母さんが出ていったんだ。新しい男ができたからって理由で、血の繋がった子どもも置いて。元から父さんが忙しいのをいいことに、俺のことは最低限育ててくれるだけでしょっちゅう男遊びしてた人だったから、出て行った時も特になんとも思わなかった。まだちゃんと理解ができてなかったのかもしれないけど。でも、六歳になって、もうすぐ小学校に入学するってなった時に、ふと母さんに会いたくなったんだ。買ってもらったばっかりのランドセルを見せたいって思った。忘れた気になっていただけで、本当はずっと母さんが忘れられなかったんだ」