100日後、キミのいない世界で生きていく

美波を見習って私もなんでもない顔をしてあははと笑う。


「なんだ、そうなのか」

「父さん、こっちはもういいから肉持ってきて」


タイミングよく向かい側に座っていた眞紘がお父さんを追い払ってくれたおかげで、これ以上言及をされずにすんだ。


「でも珍しいね。てっきり体育祭マジックで先輩とかにかっこいいーって惚れてる頃なのに。今年はなかったね?」

「たしかに。去年も陸上部の先輩に惚れて、告白までしてたけど好きな人いるからって振られてたよな」

「あ、あはは、そんなこともあったねー…」


鋭い美波と眞紘に曖昧な笑顔で誤魔化す。

言えない…。莉久のこと好きになっちゃったなんて、誰にも言えないよ…。


「あはは、やだぁー大葉くん。変なこと言わないでよー」


ふと、離れた位置に座っていた莉久にクラスメイトの女子が馴れ馴れしくボディタッチをしながらじゃれ合っている姿が目に入る。


「なんだあれ」

「珍しく体育祭でやる気出してた莉久に、クラスメイトの女子たちがギャップ萌えとか言って人気が上がってるらしいよぉー」