100日後、キミのいない世界で生きていく

ここは眞紘のお父さんが経営しているお店で、今日のために貸切にしてくれたのだ。


「おう！いっぱい食えよおまえらー」


眞紘のお父さんは無愛想な眞紘とはあまり似ていなくて、明るくて笑顔が眩しい髭の似合うダンディな男の人だ。

あ、でも、きりっとした目元は眞紘にそっくりかも。


「お、陽菜乃じゃねぇか。久しぶりだな！たまには美波と顔見せに来いよな」


通路側にいた私に気づいてくれた眞紘のお父さんが、変わらない大きな手でわしゃわしゃと頭を撫でてきた。

一年生の頃はよくイベントがあるごとに美波と眞紘と一緒にプチ打ち上げで来ていたから、眞紘のお父さんともすっかり顔馴染みだ。


「今度また食べに来るね！ここが一番美味しいもん」

「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。そうだ、陽菜乃は彼氏できたか？美波はいいセンスしてるよな。なんて言ったって、俺の息子を選んだんだからな！」


がははと豪快に笑った眞紘のお父さんが、今度は私の隣に座っていた美波の肩をバシバシと叩いている。

美波はもう眞紘のお父さんの対応に慣れてきているのか、はいはいとうまくかわしている。


「で陽菜乃はどうなんだ？いいやつがいるなら紹介しろよー？俺が見極めてやるから」

「残念ながら、いないんだよねー」