100日後、キミのいない世界で生きていく

ふと、莉久と目が合う。

莉久の口が“が、ん、ば、れ”と動き、優しく微笑まれた。


「…っ」

「陽菜乃?」

「胸が、苦しい…」

「え、なに、大丈夫?」


なんで…なんでこんなに莉久の一挙一動にドキドキしちゃうの…?


「あ、始まるっぽい。大丈夫、陽菜乃?棄権する?」


並んでいた列が動き始め、美波が心配そうに胸を押さえる私の顔を覗き込んできた。


「…ううん、大丈夫。ごめん、なんでもない」


大丈夫、今までこんなことなかったんだから。

きっと何かの気の迷いだ。


ピストルの音と共に第一走者が走り出した。

私の順番は第五走者である美波のあとだ。