100日後、キミのいない世界で生きていく

美波が前を向いたまま顔だけを私の方に向けてきて、にっと照れくさそうに笑った。


「美波…大好き!」

「なになに何の話ー?」


きょとんとしている若菜に美波は「内緒」と意味ありげに笑うと、抱きつく私をいつものように剥がすのではなく今日は優しく手を添えてくれた。


「あ、颯太来たよ。そーうたー!頑張れー!」


入場してきたバスケ部の列の最後尾にいるアンカーのタスキをかけた颯太に向かって、大きく手を振る。

美波のおかげで沈んでいた気分が一瞬で復活だ。

今はバスケ部の次期エースである颯太を心から応援しよう!


「おー!見てろよおまえらー!」


太陽のように眩しく笑う颯太がこちらに向かってVサインを突き出してきた。


「始まった!」


ピストルの合図と共に部活対抗リレー(運動部)の第一走者たちが一斉に走り出した。

やっぱり期待の一位候補である陸上部が一番最初に飛び出したが、他の運動部も負けてはいない。

颯太のいるバスケ部は三位をキープしたまま、第二走者にバトンが渡される。

アンカーである颯太にバトンが渡るまであと四人。逆転は十分できる。