100日後、キミのいない世界で生きていく

「…遅かったら、帰るからねぇ」

「とか言って、若菜が一番浴衣とか着て気合い入れてるから早く来てやれよ」


これが、みんなの声を聞ける最後の機会だ。

もう二度と会うことはできない。


…嫌だよ、死にたくない。もっともっとみんなとこれからたくさん思い出を作りたかったのに。

どうして運命はこんなにも残酷なんだろう。

死ぬのは怖い。だけど、みんながいない未来はもっと怖いんだ。


「うん…っ。みんな、大好き!」


私は諦めないよ。

いつかきっと、みんなが生きる未来に逢いに行くから。


橋の上にみんなの姿はなかった。

代わりに、あの事件の犯人である黒ずくめの男がふらふらと屋台の方に向かって歩いていた。

その手には、包丁が握られている。


「…待って!そっちには絶対に行かせない!」