100日後、キミのいない世界で生きていく

「ちょっと莉久ー。そんなこと言ったら陽菜乃がかわいそうでしょぉ?」

「若菜こそ棒読みで言うなよな」


何これ…。五人が死んだっていうこと自体が夢だった…?

…ううん。そんなことはない。たしかにあの日、五人は死んだ。

てことは、タイムリープ…?

もしかして前に莉久が教えてくれた、強い願いと引き換えに過去に連れていってくれるっていう電車に乗れちゃったの…?


「え、陽菜乃…?」

「ちょ、なんで泣いてんだよ?」


なんでもよかった。夢でもタイムリープでも、なんでも。

五人ともう一度逢えたんだ。私にとってこれ以上嬉しいことなんてなかった。


過去に戻ってきてからわかったのは、莉久も電車のアナウンスも言っていた通り、決まっている“結末”を変えることは絶対に無理だということ。

私が莉久と付き合って別れることも、私たちが一度バラバラになることも理由や方法が異なっても変えることはできなかった。

それに若菜が鉢植えを落としてきた時に手を切ったため、今回は避けようと試みてみた。

中庭に行くのはやめて教室にいようと思い、入った瞬間に上に仕込まれていたはさみが落ちてきて頬をほんの少し切った。

結果的に“物が落ちてきて体に傷がつく”未来は変わらなかった。