離婚してから始まる恋~念願かなって離婚したら、元夫が私を追いかけて辺境までやってきました~

【マルヴァリス視点】

「おいっ!なんで支援物資を載せた潜水艇が届かないんだっ!!」
マルヴァリスの怒鳴り声が響き渡る。
怒りの矛先が飛んできやしないかと、
列席する者たちはヒヤヒヤしていた。

フィオルガルデ連邦への侵略戦争は
マルヴァリスの当初の予想以上に難航していた。
その原因はいくつかある。
まず第一に、
マルヴァリスはフィオルガルデ連邦を
北の果ての田舎者と見くびり過ぎていた。
強大な軍事力を持つ自分たちが行けば、
赤子の手をひねるようにあっさりと陥落すると
高を括っていたのだ。
そういった彼の認識の甘さに加えて、
予想外の出来事が2つ起こった。
1つはヴァリニア王国の加勢だ。
今回の侵略にヴァリニアやノルヴァンドが
反発してくるとは思っていたが、
軍隊を派遣してくるとまでは思わなかった。
2つ目はアルドヴァール大公女の逃走。
軍艦に幽閉して見張りもつけていたのに、
いとも簡単に脱出された。
そして3つ目はリューネンシュタイン公国の逃亡だ。
フィオルガルデ連邦の中で
ドレシア公国とともにこちらの陣営に与した国。
ドラゴニアからしたら吹けば飛ぶような小国だが、
この国は卓越した錬金術を操る国なのだ。
永遠の命を求めるマルヴァリスからしたら
喉から手が出るほど欲しい力だった。
それなのにどういう方法を使ったのか
ある日突然、国民諸共姿を消してしまった。

何ひとつ上手く行かない状況に
マルヴァリスの怒りは膨れ上がる一方だった。