「ガビ(ガブリエルの愛称)!まずいぞ。兵士を入れ替えないと。」
エドリックはガブリエルに声をかける。
「ミレイナ、巨人たちを転移魔法で動かせるか?」
ガブリエルはそばに控えていた魔女に声をかける。
「もちろんです。彼らを安全な場所に退避させて即刻治療にあたります。」
「頼む。巨人族を後退させ、私とエドリックの部隊と入れ替えだ。」
ガブリエルはそう指示をとばすと、
エドリックとともに足早に本陣を出る。

「さっきの彼女は魔女だったんだな。ずっと誰だろうと思っていたが。」
「あぁ。それも超一流のね。彼女は大賢者エルミラスの玄孫だ。」
「玄孫??大賢者って一体いくつなんだ!?」
「さぁ、俺もそこらへんはあまり。ちなみに彼女は俺の想い人でもある。」
「魔女と人間は結婚できるのか?」
エドリックの質問を受けて、
ガブリエルはエドリックの瞳をじっと見据える。

「いいか、エド。フィオルガルデ連邦と仲良くしたいなら、これだけは覚えておけ。魔法使いも魔女も巨人もドラゴン使いも、みんな俺たちと同じ人間だ。何も変わらない。」
ガブリエルの目はいつになく真剣だった。

「馬鹿な質問をして悪かった。忘れてほしい。」
「分かれば良いんだ。」

それ以降の攻防は一進一退となる。
ドラゴニア帝国側の補給路を断たなければ、
やつらは延々と援軍を送り込んでくるだろう。
これではいずれ力尽きるのはこちらの方だ。
戦いが長引くにつれて、
戦場はあちらこちらに広がり始め、
連携もとりづらくなってきている。