離婚してから始まる恋~念願かなって離婚したら、元夫が私を追いかけて辺境までやってきました~

【ライガン視点】

エレオノールを置き去りにして
船を後にしたライガンは
彼女の身を案じることもなく、
そそくさと自身の住まいである
ドレシア城へと帰っていた。

エレオノールをマルヴァリスの下へ連れて行くことは
マルヴァリス直々の命令であった。
彼の意にそぐわぬ者がどうなるか、
その末路を見てきたライガンとしては
この任務を失敗するわけにはいかなかった。
少々強引ではあったが、
無事にやり遂げた安堵感でいっぱいで、
エレオノールのことなど
気にもとめていなかったのが正直なところだ。

ライガンも馬鹿ではない。
世界征服というドラゴニア帝国の野望に
自分が利用されているだけなのは
百も承知だ。
それでもマルヴァリスの手先として
フィオルガルデ連邦を
ドラゴニア帝国の傘下に下すことができれば、
ライガンをフィオルガルデ連邦の盟主にすると
マルヴァリスは約束してくれた。
それだけではない。
フィオルガルデ連邦をまとめ上げた暁には、
マルヴァリスの妹姫、
すなわちドラゴニア帝国皇帝の第3皇女ユリアナを
ライガンの元に嫁がせると。

皇女ユリアナという高貴な姫を
妻にできるとなっては、
ライガンの上昇志向がさらに加速するのは
言うまでもないだろう。
皇女の夫となれば、
自分も栄えある皇帝ファミリーの一員である。
田舎のしがない大公家とは
比べるべくもない。