離婚してから始まる恋~念願かなって離婚したら、元夫が私を追いかけて辺境までやってきました~

親交を結びたいなんて嘘だ。
友好目的で近づいていると見せかけて、
属国として飲み込むに違いない。
今までの多くの国がそうだったように。
フィオルガルデ連邦を構成する7つの国が
一致団結したとしても、
ドラゴニア帝国には力及ばないだろう。
私が抵抗したところで
結果は変わらないのだろうか。

マルヴァリスは田舎と馬鹿にするが、
エレオノールは自然豊かな祖国が大好きだった。
絶対にドラゴニア帝国に渡したくない。
自分たちの力で出来ないなら、
誰かの力を借りるしかない。
ドラゴニア帝国に対抗できうる大国は
ヴァリニア王国だ。
でもエドリックとは喧嘩別れ状態だし、
簡単に力を借りるわけにはいかない。
やはりフィオルガルデ連邦の結束が
最優先事項だろう。

そんなことを考えながら、
どう言ってこの船から下船しようかと
思い巡らせていた。
そんなエレオノールの考えを見透かしてか、
「あなたを安々と帰すわけには行かないよ。大事な交渉の材料なんだから。」
マルヴァリスはにこやかな笑みを浮かべた。
「悪いようにはしないから、しばらくこの船に滞在しなさい。」
提案してくれているような物言いだが、
これは命令である。
言われるがままに、
エレオノールは船上で囚われの身となったのだった。