久々に馬を駆ける。


ハルには乗せてもらったが、自分で手綱を握るのは本当に久しぶりだ。



…シロは元気だろうか。




「俺が乗せたる言うたのに。」


「まだ言ってるの?私だって乗れるんだし、無駄に疲れようとしなくていいじゃん?」


「無駄ちゃうわ。」



現在おーちゃんと馬を並べて、本日陥落するエゼルタの城を目指して走っています。



何故二人なのかと言うと、拝借する一万の兵は私達よりさらに後方から今進軍を始めている。


その軍が城に着く前に、私はエゼルタ軍の様子を見に行く予定だった。そこにおーちゃんが着いて来た。行軍見てて欲しかったんだけど。





「今日は誘導だけだから、おーちゃん暇だと思うよ?」


「ええねん。俺がお嬢とおりたいだけやし。」


「…結婚しないよ?」


「それまだ言うんか!?」



しっかり紙とペンを持って来た。


ここでカイと上手く連携しつつ、エゼルタ軍をあの城へ誘導する。




「てかエゼルタ軍を討ってくれる軍のこと、結局カイにも話さんかったやん。カイあれ内心怒ってたで。」


「…怒らせるつもりはなかったんだけど。」



不本意だ。


カイって、私と同じで自国愛が強めだと思うんだよね。だから不快な思いをさせたくなかっただけなんですけど。




「もうええやろ?カイにもどうせすぐバレるで?」


「…バレるかは分からないよ。」


「こんな世界の注目カード、どっちが勝ってもすぐに大騒ぎになるって。」


「どうなんだろうね。」



正直なところ、ここにおーちゃんがいて。これから来るパルテノン軍もその戦いの一部始終を目撃することになる。


だから、カイに隠せない可能性もある。