「けど会わへんって、それで戦どうするん?」
「作戦に変更はないので。会わなくても、エゼルタは勝手に負けるの。」
「…意味が分からん。」
「もう一人いるんだよ。私に会いたいって焦がれてる人。その人を唆して、エゼルタ軍にぶつけたら勝手に戦ってくれるから。」
この戦の要は、情報拡散のタイミング。
「求める私に会うことも出来ずに散っていくの。もう愉快だねー。」
「こっわ。お嬢悪女やん。」
「カイ失礼。私は総司令さんのこと良く知らないけど、やっぱり私にとってこの世界で一番すごい軍略家はシオンだから。」
そこでカイは何かを言おうとして、けど口を噤んだ。
「この戦、シオンをそこに配置しなかった時点で私の勝ち筋は見えてるよ。」
「…何か行けそうな気がして来た。お嬢凄い。」
「もう少しで動き出すだろうから、私が総司令さんを落とす城まで誘導する。そこにのんびり歩いて来るといいよ。」
「ほんまに戦闘ならへんの?」
ならないように、相手を翻弄する。
いつもの私の戦い方と同じ。基盤の上で踊るこの駒達に、踊る以外の選択肢はない。
「拝借するパルテノン軍が到着する頃には、敵は背を向けて敗走するので。この国の血は一滴も流させないよ。」
「か、かっけー…。」
「そう言う約束だもんねー。」
「お嬢ほんまに凄い将軍やねんな!戦神凄い!」
あれだけ心配していたカイが、今度はずっと興奮している。
忙しい人だなー。

