そうだとしたら、やりにくい。
「カイ仲良しなの?」
「…いや、俺はどっちか言うたら嫌われとったし。別に仲は良くないけど。仲良かったんは寧ろお嬢のおとんやろ。」
「ふーん。」
「てか、そんなこと置いといて。シキの兄ちゃんと戦なんて怖過ぎるて。」
パパは負けてたのに仲良しだったのかー。
そしてカイは怯えすぎだなー。
「私がこんな将軍で良かったね。元だけど。」
「なんの話や。」
「基本的に相手が誰でも手は抜かないのー。もうある程度整ってるから練り直すことも狼狽えることもない。」
「練り直そ?少しは狼狽えよ?」
「だから予定通り、この国は歩いていればそれでいいよ。」
そう。
戦に関しては手の抜き方を知らない。私は今回これで勝てると考えている。
「なあ、カイ。俺も案外ここは大丈夫な気がする。」
「お前等知らんからや!シキの兄ちゃんは恐ろしい人なんやで!やから伝説なんやで!」
「白狼も別に心配してへんかったで。」
…え?シオンが?
その辺の兵と一戦交えるのも下らない心配してたシオンが?今回は直接的に武で戦うわけじゃないからか?
「あ、伝言もあるで。」
「え!?シオンが私に!?」
いやー、嬉しいような。怖いような。
何せ邪狼だからな。性悪だし。鬼畜だし。
「備えは怠るなって。」
「…へ?」
備えを、怠らない。
それは良く知ってる。
だって、シオンから教えてもらったことだもん。シオンの戦を、その報告書に穴が開くまで見て学んだことだもん。
「う、嬉しいかもしれない…っ。」
「はあ?」
本物から直々のアドバイス。
そして、シオンの師である総司令さんとの勝負を、冷静に見届けようとしてくれている。

