カイがこれだけ焦るもので。
おーちゃんも焦りが生まれるのかと思いきや、意外と落ち着いていそうに見える。
「分かっとるわ。今日から俺が一時も離さず守ったらええんやろ。」
…ん?一時も離さず?
「その意気で頼むで!」
「任せとき!」
うん。
二人で団結しているところで、大変言い難いことではあるんですが。
「んー。それいらない。」
「…おいカイ。お嬢が何か言うてるで。」
「今回ばかりは聞く必要なしや。こっちはこっちで考えよ。」
「ちょっと待ってよ!?」
強行突破しようとするとは恐ろしい。
「二人の中での私って、そんなにか弱いイメージなの?」
「「全然。」」
「はっきり言われるのもムカつくけど。このエゼルタ軍については、私も色々読んで準備してたから大丈夫だよ。」
「準備?」
不思議そうなお二人さん。
そんな二人にも色々と頼んで来たぞ、私は。
「その戦でこの国が勝つための準備。」
ケロッと言った私。
首が垂直に曲がるほど疑問符を浮かべているおーちゃん。
顔面蒼白のカイ。
「だから四六時中一緒にいなくても大丈夫。その総司令さんの意表を突いて、ゆるーくお城もらおうね。」
「ま、さか…シキの兄ちゃんと、戦するんこの国なん?」
「シキの兄ちゃん?」
「あ、あー…エゼルタの総司令さん。名前シキって言うねん。」
シキさん。
兄ちゃんって呼ぶくらいカイは親しかったんだろうか。

