「…家族になって、どうするの?」
「どう…って…〜っ!」
「なに、怖い。」
「ちゃう!俺は別にそう言う意味で言ったんちゃう!」
「そう言うってどう言う?」
「や、やから!家族になって、お嬢の居場所になるいうてんねん!」
私の居場所。それはハル。
そう言えばアキトにも居場所がなくなったら来いとか言われたっけ。
居場所がなくなった…後の話か。
「んー。」
「今すぐの話には出来ひんやろうから、その時絶対俺を思い出してくれればええ。」
「……。」
「ちゃんと思い出せるように、俺はお嬢に爪痕くらい残したる。」
…ようやく理解出来た気がする。
つまり、ハルが私の元からもし居なくなっても。この世界で生きる選択が出来るように。地獄の果てからでも、おーちゃんを思い出して欲しいと。
「爪痕は…痛そうだからやだ。」
「誰がほんまに爪立てんねん!?」
「別にそんなのなくても、おーちゃんのことは忘れないよ。」
「…ほんまか?」
「ほんまほんま。」
「二回言うた。嘘やな。」
二回言ったら嘘になるの!?
「ほんとです。絶対忘れない。私頭良いもん。」
「…なら…いい。」
「でも結婚は無理。」
「何回も断んなや!?鬼かお前!?」
大事なことなので。
念には念をと再度お断りした私にぷんぷんと怒るおーちゃん。
そして我慢出来ずにカイが吹き出した。
「このコントおもろいっ…。」
「誰がコントや!?」

