(二)この世界ごと愛したい




そこからトキは大急ぎで再び城へレンを迎えに行って。


何とか無事に三人仲良くエゼルタ王都から出ることが出来た。




「リンへの報告任せるね。」


「分かった。」


「…シオンと話して収穫あった?」


「…いや、何か白狼がアホに見えただけやった。」



肩を落とすおーちゃん。


知りたかったことは何となく分かったものの。どうすべきかどうかは分からないまま。




「トキのお兄さんに会えてよかったね。」


「あーまあ、せやな。お嬢をハルから離せば嫌われるらしいから、それは俺には出来んな。ハルもええ奴やし。」


「…リンはそんなこと望んでないよ。」


「王子分かるん!?」



レンでなくてもそれは分かるだろう。


そんなことにも今は気付かない程に、おーちゃんは晴れない悩みに困っていた。




「リンが死にたい理由と、生きたいと思い始めた理由が同じだから。」


「死にたい理由と、生きたいと理由…?」


「常に誰かのためにしか動けないリンが、自分のために動けるようになるのは難しいのかもしれない。」


「…それでそれで?俺はお嬢に何をしてやれるんやろ?」



必死なおーちゃんと。


きょとんと不思議そうなレン。





「リンが人にちゃんと甘えられるように、寛大な心で接しようって俺は思ってるよ。」


「…なるほど。」


「でも凄く腹立たしい時もあるし、逆に調子に乗せちゃう時もあるし。一筋縄じゃないけどね。」


「…分かる気がする…!」