そこからトキは大急ぎで再び城へレンを迎えに行って。
何とか無事に三人仲良くエゼルタ王都から出ることが出来た。
「リンへの報告任せるね。」
「分かった。」
「…シオンと話して収穫あった?」
「…いや、何か白狼がアホに見えただけやった。」
肩を落とすおーちゃん。
知りたかったことは何となく分かったものの。どうすべきかどうかは分からないまま。
「トキのお兄さんに会えてよかったね。」
「あーまあ、せやな。お嬢をハルから離せば嫌われるらしいから、それは俺には出来んな。ハルもええ奴やし。」
「…リンはそんなこと望んでないよ。」
「王子分かるん!?」
レンでなくてもそれは分かるだろう。
そんなことにも今は気付かない程に、おーちゃんは晴れない悩みに困っていた。
「リンが死にたい理由と、生きたいと思い始めた理由が同じだから。」
「死にたい理由と、生きたいと理由…?」
「常に誰かのためにしか動けないリンが、自分のために動けるようになるのは難しいのかもしれない。」
「…それでそれで?俺はお嬢に何をしてやれるんやろ?」
必死なおーちゃんと。
きょとんと不思議そうなレン。
「リンが人にちゃんと甘えられるように、寛大な心で接しようって俺は思ってるよ。」
「…なるほど。」
「でも凄く腹立たしい時もあるし、逆に調子に乗せちゃう時もあるし。一筋縄じゃないけどね。」
「…分かる気がする…!」

