(二)この世界ごと愛したい




ソルの第一将から私を守るその意味を。


分かっているなら頼むと言ったおーちゃんに、シオンは辛辣に言葉を返す。




「それは経験談?」


「…せやな。ヒマリと同じ目には、遭わせたくないし。」


「あんたの昔の女に興味ない。手遅れになる前に、誰かが討つしかない。」



神が誘うその前に。





「次は、俺が出る。」


「シオンがわざわざ?またソルと?」



取り返しのつかない事態になる前に、シオンは早く討たねばならないと考えていた。




「畳み掛けるなら早い方がいい。」


「シオンまだ戦禁止令解けてないでしょ。」


「……。」


「…今アキトが燃えてるから、俺が先に行ってみようかな。」



次戦、セザール対ソル。


ソルには思わぬ追撃になるだろう。




「…で、いつまでここに居座る気。」


「そうだ。早く戻らないとレンも危ないんだった。瞬兎さん行くよ!」




来た時同様、屋根裏から戻ろうと登る。


おーちゃんは帰りの際に振り返り、またシオンへ質問を投げる。





「お嬢を繋ぎ止める方法、分かってるん?」


「…さあ?」



おーちゃんは諦めてトキと部屋を出る。








「俺は一緒に…堕ちてもいいけどな。」



その方法はシオンにもまだ最良の答えが見つかっていないから、私と一緒に堕ちてもいいと。不意にらしくないことを考えさせられてしまう。


思わずむすっと顔を顰めることになった。






「はー…病原菌がウザい。」




そしてまた、その本を手に取る。


たった一人の天使に、会いたいと焦がれる。